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絵本ナビスタッフ便り 7月

絵本ナビ編集部

2015/07/22

乙武洋匡さんが、小学校の特別授業で読み聞かせに選んだ絵本って・・・?

乙武洋匡さんが、小学校の特別授業で読み聞かせに選んだ絵本って・・・?

600万部のベストセラー『五体不満足』をはじめとした様々な著書の作家として、またスポーツライター、さらには約3年間の小学校教諭としての経験を活かし、多方面で活躍中の乙武洋匡(おとたけひろただ)さん。
その乙武さんが都内の小学校で、子どもたちに向けたよみきかせ特別授業を行ないました。

読んだ絵本は2冊、そのタイトルは『Zero ゼロ』と『One ワン』。 
全米で絵本・児童書に贈られる15もの賞を受賞した注目の絵本、
そして実は、2001年発売の『かっくん どうして ボクだけ しかくいの?』(講談社)以来14年ぶりに、乙武さん自身が翻訳を手がけた絵本なのです。

特に『Zero ゼロ』を読んだ乙武さんは、ご自分と「似た境遇だ」と感じられたそう。
数字、そして色というそれぞれシンプルな主人公のおはなし、この2冊、どんな作品なのでしょう。

One ワン One ワン」 作・絵:キャサリン・オートシ
訳:乙武 洋匡
出版社:講談社

ブルーはとってもおとなしい子。
イエローみたいに明るくなれたらなあ、なんてまわりの子たちをうらやましく思うこともあるけど、自分がキライってわけではありません。

レッドはおこりんぼう。
いつもブルーをいじめます。
イエロー、グリーン、パープル、そしてオレンジは、落ち込むブルーをなぐさめたり、元気づけてくれますが「いじめないで」とは言ってくれません。
何も言われないレッドは、ますますおこりんぼうになり、どんどん大きくなってみんなをいじめるようになりました。このまま問題は解決しないのでしょうか。

そんな時現れたのが「1」。
「1」はみんなとは姿かたちもまるでちがうのですが、一番ちがったのはレッドに対する態度だったのです。
「おい、おまえも だまれ!」というレッドに、背筋をピンとしてはっきり答えます。
「イヤだね。」
その様子を見たみんなにも、変化が起きていき・・・。

全米で絵本・児童書に贈られる15もの賞を受賞した作品を、乙武洋匡さんが翻訳したことでも話題となっている絵本『One ワン』。登場するのは数字と色のみ、とてもシンプルなのだけど、不思議とそのキャラクターはまっすぐに伝わってきます。
どの色も数字も素敵、だけどその性格や性質の違いによって「対立」や「優劣」が生まれてしまうという事実は、残念ながらよく直面する問題です。そこに立ち向かっていくには、どうしたらいいのか。
最初に声をあげた「1」の姿は、乙武さんの翻訳を通して、読んでいる子どもたち、そしてそれを見守るべき大人の心に勇気を与えてくれているようです。

同時発売の『Zero ゼロ』も合わせて読んでみてください。

Zero ゼロ Zero ゼロ」 作・絵:キャサリン・オートシ
訳:乙武 洋匡
出版社:講談社

全米で絵本・児童書に贈られる15もの賞を受賞した『One ワン』に続く作品として登場したのが本作『Zero ゼロ』。この絵本を読んで自分に「似た境遇だ」と感じられたという乙武洋匡さんが翻訳しています。

主人公は数字のゼロ。
ある日、自分のからだの真ん中に大きなあながあいていることに気がつき思うのです。
いいなあ、みんなはかぞえられる数字で。
「1」の力強くて、堂々としたからだになったらなかまに入れるかな。
ゼロは、自分のからだをひっぱったり、のばしたり。ひねってみたり。
でも、ゼロはゼロのまま。
中身がからっぽだと思うと、自信が持てないのです。
「どうせ、わたしは なにを やってもダメなんだ。」

それを聞いてアドバイスしてくれたのが、赤いからだの「7」。
「もっと よーく じぶんを 見てごらん」
その言葉の通り、ゼロは自分をしっかりと見つめ直します。
すると自分の中にひかりを感じ・・・。

ゼロは、自分とみんなの違いを受け入れられずに悲しくなったり、自分自身を恨めしく思ったりします。そんな様子を見て乙武さんは言います。
「私と似た境遇と言えるかもしれない。しかし、大きく違うのは、そうした境遇の捉え方。私は友人たちをうらやんだこともなければ、自分を恨めしく思ったこともありません。それは、両親をはじめ、周囲の人々が幼い頃から私の存在を認め、愛情を注ぎ続けてくれたからだと思うのです。」(巻末の訳者のことばより抜粋)

自分にしかできないこと、自分だからできること。
それに気付くことができるのは、案外まわりの人のささいな声かけがきっかけになるのかもしれません。
「みんな ちがって みんな いい。」
この絵本が、悩める子どもたちにとって、何かのヒントになってくれますように。

この2冊の刊行を記念して、2015年7月10日、都内文京区立青柳小学校で乙武さんによる特別授業が行われました。
その授業を映した動画がこちら!乙武さんの読み聞かせの様子、ぜひご覧になってみてください。

翻訳にあたって乙武洋匡さんからは、こんなメッセージが。

「たった1冊の絵本の力で、 現実が魔法のように変わることはありません。 
でも、 少しずつでも勇気を持ち寄ることができれば、 悩んでいる子に声をかけることができれば、 笑顔いっぱいの世の中になるのでは――。 
この作品が、 そんなことを考えるきっかけとなってくれればうれしく思います」 
ともだちとの関係のなかで、一歩を踏み出す勇気。
みんなちがってみんないい、お互いの個性を認め合い、多様性を楽しむこと。

そんな2つがテーマとなっている『Zero ゼロ』と『One ワン』。
翻訳に込めた思いやエピソード、そしてご自身の子育てについて、絵本ナビユーザーにたっぷり語ってくれた貴重なインタビューもあるんです。
ぜひ絵本とあわせて、読んでみてくださいね。


絵本ナビ編集部

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乙武洋匡
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