
【今日の1冊】 8月12日「ふる里へ帰ろう。」

「今日は何の日?」「今日はどんな絵本を読もうかな?」
一日の始まりがワクワクするような絵本を毎日ご紹介します!
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読んでいるだけでも、田舎の海に遊びに行った様な懐かしい気持ちになるこの絵本。
●日本の海の、潮のにおい(みんなの声より)
昭和初期頃でしょうか、長崎の海辺の生活が淡々と語られた絵本です。いとこのこうちゃんのうちに遊びに来ている、だいちゃん。漁師さんの船に魚をもらいに行き、川エビを捕り魚を釣り、浜で食事をし、木の上のやぐらから暮れゆく海を眺めます。一日中海と戯れて、だいちゃんの夏の一日が終わります。
太田大八さんの描く、日本の海の美しさが際立ちます。かすかに霞んだような滲んだような、寂びた色調によって醸し出される、夏の空気の感じ。日本の夏の、暑くてどこかしんとした、頭の芯がつんとするような感じ。繊細な『侘び寂び』が、絶妙な色使いとタッチで見事に表現されています。独特の潮のにおいが行間から沸き上がって来て、つうっと記憶の奥を刺激するような絵本です。
物語は伸びやかで素直で、特別なことは何も起こらないけれど、豊かな日常です。読み終えたとき、息子は、「こういうこと、ぼくもやってみたいなあ」と言いました。子どもにとって必要なのは、本当は、この絵本に描かれているような日々なのだ、と思わされます。だけど現代人にとって、こんな日常はもはや手の届かない境地に追いやられてしまっている。どうして、そうなってしまったのか。そのことにすこし、哀しみさえ感じてしまう絵本です。
(りんごのきさん 40代・ママ 男の子8歳)
●夏休みのたのしみ(みんなの声より)
九州の方言なので、大村に住んでいた頃が懐かしくなります。
後ろの裏表紙に地図があって、なんと大村じゃないですか!
太田さんは大村のご出身なんですね。
一気に親近感が沸きました。
だいちゃんは、夏休みに毎年ここに来ているのでしょうね。
きっと楽しみにしていたのでしょう。
親元を離れて親戚に泊まるのは、のびのびできるし、いとこたちと遊ぶのは何より楽しかったでしょう。
特別な夏休みの一日をていねいに描いてあって、自分も大村にいるような気持ちになります。
子どもの頃を思い出します。
原画展でこの絵本の原画を観る事が出来ました。
とても美しい絵でした。
文章の下の絵もいいですね。
(おるがんさん 40代・ママ 愛知県)
「だいちゃんとうみ」
作・絵:太田 大八
出版社:福音館書店
だいちゃんは夏休みを海辺の村で過ごします。川えびすくい、釣り、浜辺の食事、水遊びと、暗くなるまで遊んでいると、お母さんの声がします。「晩ごはんのでけたよう。はよ、おいで」