思い切りのいい大胆な水彩の筆使いを見て、わたしが一目でファンになってしまった絵本。日本の田舎の夏が、その臭い…たとえば草、肥料、香取線香、その音…たとえばセミ、せせらぎ、などから感じ取れます。一見、思い切りがよすぎて荒々しくも見えますが、その荒っぽさは作者の実力の爆発であるような気もします。「にわのみなさん、あめだぞ、あめだぞ」と水まきをする場面は、清涼感がいっぱい。最後に浴衣を着て縁側にすわる女の子を見て、懐かしさがこみ上げてきました。
子供と読むのもよし、自分で郷愁に浸るもよし。絵の好きな方、特に日本画の好きな方におすすめ。