ロブ・ゴンサルヴェスの絵本でこれまで見た二つの作品は、絵本というよりも不思議絵の世界で想像を掻き立てるような絵画集でした。
この絵本にしても例外ではないのですが、署名の「どこでもない場所」にしても原題の「Imagine a place」にしても、子どもの領域を飛び出してしまった感があります。
「想像してごらん」「ほらここが…」「ほらここが…」という列挙は見ている方が試されているようにも思えてしまいます。
それにしても幻想的な不思議絵の世界。
あまりに一点一点が繊細で見ているものを引き込んでしまう魔力を感じます。
空が川であったり、水面に出た岩が建物であったり、人形が人間の大きさになって迫ってきたり、どの作品もぞくぞくするような神秘的な怖さを秘めています。
自分の精神の隙間に食い込んでくるような絵です。
絵本だから許せる、時折眺めて心を鎮めるのに適した絵本です。
これが一枚ものの絵で、部屋に飾ったりしたら情緒不安定になりそうです。
でも、次の作品も楽しみにしている私です。