表紙のとうさんおおかみの目は、少しこわいけれども、読んでみると、なんて素敵なとうさん、と惚れ惚れしました。
ページを開くと、子どもたちを慈愛の目で見守るとうさんに会えます。
ある夏の朝、大きなならの木の幹に隠れて、こっそり、ほかのこどもたちを見ている、すえっこおおかみ。
おにいちゃんやおねえちゃんたちに「だめだ」「のろま」などと言われ、自信をなくしていました。そんな時、とうさんおおかみは、すえっこおおかみをなでながら、言います。「いっぺん やって みせてごらん」すえっこおおかみが、やってみせると、「それで いいんだ」いまは、できないことも、おおきくなったら、きっと、できるようになる!てんまで届かなくても、ひなげしのはなまで、とびあがれる!すえっこおおかみは、大満足。
そして、お話はこれからが、圧巻です。気持ちのいい日だまりで、4匹の子どものおおかみたちは、お昼寝。そよかぜが、おおかみたちの毛をやさしくなでていきます。
それから、とうさんおおかみが、大きな大きなならの木を見上げ、すえっこおおかみに、ささやきます。「このどんぐりは、こんなにちいさいけれど、それで いいんだ。このどんぐりが、こんなに おおきな木になるんだよ」
すえっこおおかみだけでなくて、この絵本に触れた人は、きっととうさんおおかみに励まされることでしょう。
この絵本の絵を描いたアルエゴとデューイの『ランパンパン』も大好きです。