表紙から圧倒される。これを子どもたちが見たら、大喜びするに違いないでしょう。トマトに、目、鼻、口をつけただけではないからです。こういうトマトとう生きものがいると感じてしまうでしょうから。
枝から落ちてしまい、暑いといって泣くトマトさん。この涙も確実にトマトではなくトマトさんという別な生きものがいることを示しています。
そんなトマトさんを虫たちが協力して、川へ落としてくれます。「ああ、つめたい!」と言っているときのトマトさんは、心からの喜びに満ち溢れています。
これだけの独特の味のあるキャラクター(虫たちも含めて)を生み出した作者には、これからもずっとこういう路線で行ってもらいたいと思います。ただかわいいではなく、本物の感情をもったキャラクターを。
それにしても気になるのは、トマトさんはこのあとどうなったかということなんです。
一人一人の読者の物語ができそうです。