ある夏の昼下がり、真っ赤に熟れたトマトさん。
トマトの木からどたっと落ちたその姿。迫力です。
でも何だかとっても憂えた顔をしています。
それもそのはず、近くの小川にミニトマト達がぽっちゃんぽっちゃん気持ち良さそうに飛び込んでいく音が聞こえるのです。でも、しっかり熟れて図体の大きなトマトさんは動けない!
じりじりと地面から伝わる暑さが身に応えます。すると、畑の虫達があちらこちらから出てきてトマトさんの為に……。
じゃっぽーん、水の中に入った時のトマトさんの顔といったら!なんて気持良さそうなんでしょう。
やっぱり夏はトマトです。真っ赤に熟れたトマトを冷たい水で冷やしてがぶりっ。あーおいしそう。暑い日に限って息子がトマトをぱくぱく食べまくる気持がよくわかります。
それにしてもこのトマトさんのキャラクターはかなり独創的。何だかやけに色っぽい。こんなに気だるい感じの絵本の主人公なんてあまり見かけない……でもこれがぴったりはまってるんだなぁ。
もう表紙のトマトさんの顔を見かけてしまったら目を背けて通り過ぎる事はできないでしょう。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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