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この家には誰が住んでいるのか
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投稿日:2010/11/05 |
てのひらサイズのかわいらしい絵本。見開きにはハツカネズミの住むネコイラン町にあるチュウチュウ通りの地図が書かれています。そして、もくじをめくると、チュウチュウ通りに住むネズミたちを紹介するページがあります。先ほどの地図と照らし合わせて、このネズミはどんな家でどんな生活をしているのだろうと、一軒一軒確かめていきたくなります。
シリーズ最初のお話は、一番地に住む、お宝チーズをいっぱいもってるお金もちネズミのゴインキョのお話。
ガードマンのふりをして黒めがねをかけたドブネズミがゴインキョのチーズを盗みだそうとします。
お金もちと聞くと欲張りでイジワルな印象がありますが、ゴインキョは友だちをよんで、チーズをごちそうするチーズ・パーティを開いたり、孫たちからの手紙をいつも楽しみにしているようなネズミでした。ですから、ゴインキョのピンチはチュウチュウ通りのなかまたちに救われます。
たしろちさとさんの描くネズミたちがなんともかわいらしく、最後のページに描かれたチーズ・パーティの様子はみんな楽しそうでうらやましいくらいでした。
一回手にとって気に入ってしまったら、全巻欲しくなってしまうそんな絵本です。
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「みんなで いっしょに」がなかなか難しいのです
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投稿日:2010/11/05 |
私もくまのとんとんのように、学生時代はずっと吹奏楽やバンドで「たいこ」をたたいていました。
さるのさりーが「バンドって なあに?」ととんとんに尋ねると、「みんなで いっしょに おんがくをやることさ。」ととんとんは答えました。
実は、この「みんなで いっしょに」がなかなか難しいのです。一人一人がたくさん練習することはもちろん、バンドで他のメンバーの音を聴きながら、バラバラだった音を一つの音楽に仕上げていくことがとても難しいのです。
仲間の演奏に意見を言ったり、演奏全体をどのようにしていきたいのかアイデアを出しあったりしながら曲を作りあげていきます。その過程でケンカすることもあるでしょう。だからこそ「みんなで いっしょに」演奏ができたときの達成感や、演奏をしているときに背中がゾクゾクする感じは、とても大きな悦びになります。
とんとんバンドの演奏を聴いて、自然に歌ができてしまったのねずみのちーや、森じゅうから集まってきた動物たちが踊りだしてしまう、そんな風に音楽の悦びをみんなと共有できる演奏ができるとんとんバンドは、きっととても素敵なバンドなんだろうと思います。
湯沢香樹実さんの楽しい文章と堀川理万子さんの素朴な絵で作られたこの絵本を、子どもたちはバンドって楽しそうだなあと思ってくれるに違いありません。森の遠くから、音楽を楽しむ動物たちを描いた最後のページは、きっと今日も演奏しているのだろうと思うほど、とても印象的でした。
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ぼく、おとなになっても 戦争せんよ。
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投稿日:2010/11/05 |
これは現実にあったお話です。
いわたくんのおばちゃんが、なぜ写真に写ろうとしないのか、その理由は広島に落とされた原爆にありました。
なぜ、おばあちゃんが写真に写ろうとしないのか、どうか、みなさんには、中学生の頃のおばあゃんになってもらって、この絵本を読んで欲しいと思います。
はまのゆかさんのやさしくてやわらかい絵のおかげで、この絵本を手にした子どもたちは、原爆が落ちたときの様子、そのあとの町がどんな状況だったか、中学生だったおばあちゃんがどんなにつらく悲しい思いをしてきたのか、真正面から受けとめることができるのではないかと思います。
最後のページに書かれた「ぼく、おとなになっても 戦争せんよ。 ほんとよ。」という主人公の言葉のように、この絵本を読んだ人みんながそう思ってくれることを願っています。
小学中・高学年にぜひ読んでもらいたい本です。そして、読んだあとに、むかしの話としてではなく、自分自身の未来の話として受けとめて欲しいと思います。そして、クラスのみんなと感想を話し合って欲しいと思います。
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母親と父親と、母性と父性と
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投稿日:2010/11/05 |
まさにカバーの袖に書かれた「すべてのおかあさんと そのこどもたちに」に贈られた絵本です。
こどもを愛してやまない母性がこの絵本から溢れでています。約40ページしかない絵本のなかで、こどもはすぐに成長してしまいが、不思議なことに心のなかでは大河の流れのようにゆっくりと時は流れています。
年老いたおかあさんが自分の娘を思い出しているのでしょうね。
先日、実家に寄ったときに、母がわざわざ外にでで見送ってくれました。47歳になる私を角を曲がって見えなくなるまで送ってくれました。かつては、そんな母の気持ちを重く感じたこともありますが、今では感謝するばかりです。
アリスン・マギーの短い文章や単語のなかには、母親のたくさんの想いがつまっています。ピーター・レイノルズさんの絵は、どれもが温かく、親子を見守っています。読む人によって、あるいは読む時期によって、いろいろな想いをこの絵本から得ることでしょう。それをとてもしあわせに思います。
絵本のなかで母親は年老いた娘に、「そのときには、どうかわたしのことをおもいだして。」と語りかけています。父親である私のなかにも、母性的なものが流れているので、この母親の気持ちがとてもよくわかります。その一方で、「おれのことなんか忘れて良い。そのまま自分の道を歩いて行きなさい。」という気持ちが大きいのも事実です。
そんな母親と父親、母性と父性によって、こどもは成長していくのだろうと、あらためて思い返しました。
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お話の壮大さをみんなに楽しんでもらいたい
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投稿日:2010/10/29 |
絵の美しさに惹かれます。露草の花のような青紫色のうえに描かれた左右・上下が対称の表紙、見返しには赤色のうえに金色の細い線で円状に描かれた多くの動物たち、そして白地の扉には主人公を中心に金の線で木が大きく枝を広げています。どの絵もとても細かく、顔を本に近づけて見入ってしまいます。
作者であるデミの紹介文には、「伝統的な『インド細密画』を取り入れ、コンピューターを使ったレイアウト」と記されていました。そう言われて見ると、この絵本全体が精密さと規則性をあわせ持っていて、それがより美しい絵を生み出しているのがわかります。
この絵本の内容は至って簡単、村娘のレーニが、とんちを使って王さまの悪政から村を救うというお話です。ただ、そのとんちがおもしろいのです。1つぶのお米を30日後には10億つぶにしてしまうのです。お米が増えていく様子が詳しく描かれていて、30日目に256頭の像が並んでいる見開きのページと、お米の山に子どもたちや動物たちが埋まっている絵には圧倒されてしまいます。
サブタイトルが「さんすうの むかしばなし」となっていますが、算数が苦手な子も楽しめるお話です。このお話の壮大さをみんなで楽しんでもらいたいと思います。
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もっと子どものつよさを信じてほしい
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投稿日:2010/10/29 |
漁師をしているかなこのお父さんが連れてきた、足を一本なくした、たこのななちゃんとかなこちゃんのお話です。
二人?はとても仲良しになり、たこのななちゃんは、かなこちゃんと一緒に学校にも行って、みんなと楽しく学校生活を過ごします。
なかがわちひろさんの絵本には珍しく、多くの色が使われていて、楽しさがより伝わってきます。
圧巻なのは、かなことななちゃんの別れを予期させる夕焼けの海のシーンです。港で手をつないでならんでいる二人の姿がせつなくてなりません。
このお話で残念なのは、かなことななちゃんの別れで終わるのではなく、迷子のペンギンが現れて終わることです。楽しく終わるようにという考えで描かれたのかもしれませんが、とても安易で、この絵本を読む子どもを信じていないように感じられました。かなこちゃんは、たこのななちゃんが海へ帰ったとしても、その思い出を胸にしっかりと生きていけるはずです。そういう子どものつよさを表現して欲しかったと思います。
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怖い話が好きな人は読んでみてください!
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投稿日:2010/10/15 |
『ひとりでいらっしゃい』、『うらからいらっしゃい』に続く3冊目。
今回のテーマは「乗り物」です。人力車、手漕ぎボート、エレベーター、ジェットコースター、ブルートレインなどが登場します。どうしてこれらの乗り物が怖い話につながるのでしょうか。気になりますね。
表カバーの袖には、「<怪談クラブ>へようこそ。こわい話のすきなあなたなら、きっとこのクラブが気にいるはずです。入会の条件はふたつ。その月のテーマにまつわる怪談をひとつ用意してくること。そして、ひとりでくること。毎月の第二日曜日、西戸研究室でおまちしています。つぎも、まよわずいらっしゃい。」なんて書かれていると、読まずにはいられないですよね。
特に、この本が対象としている小学中学年の頃は、怖い話や不思議な話が大好きですから、普段は読書をしない子どもでも、思わず手にとってしまうと思います。そんな子に、是非、この本を薦めてあげてください。
表紙の絵も、話の内容にあわせて、図案化されています。よく見ると、口さけ女や白い手、そして位牌までも……こうやって表紙を見るだけでもちょっと怖くなってきます。
そうはいっても、明るい雰囲気のなかで、大学生と主人公の小学生の隆司が怖い話を披露しあうという内容なので、一つの発表が終わるとホッと一息つけますから、安心して読んでください。
そして、もしこの本が気に入ったなら、ぜひ<怪談クラブ>に参加してください。でもひとりで行くんですよ……
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音楽とは……
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投稿日:2010/10/13 |
『モーツァルトはおことわり』のタイトルから、わがままな少女や頑固な老人が、モーツァルトの音楽をきっかけとした騒動を起こす楽しい話を思い浮かべました。表紙も青を基調とした美しい風景が描かれ、前の見返しも後ろの見返しも街の美しい朝日と夕日が描かれていたので、なおさらでした。しかし、実際は楽しいなどとは言っていられない物語だったのです。
物語は、新米の記者が上司の代わりに、気難しいバイオリニスト、パオロ・レヴィ氏のインタビューをすることになった場面から始まります。そして、理由がわからないまま、インタビューするときの注意事項として、「モーツアルトの件についての質問をしないこと」「プライベートな話題もダメ」と上司からきつく言い渡されるのです。
しかし、いざインタビューを始めるというときに、パオロ・レヴィをまえにした記者は混乱してしまい、「モーツアルトの件についての質問だけはいたしません。」と言ってしまったのです。記者は「出て行け!」といわれることを覚悟しましたが、意外にもレヴィ氏から話を始めたのでした。
ときには心を和ませ、ときには元気な気持ちにさせてくれる音楽が、ナチス・ドイツ時代に、そんな怖ろしくも惨いことのために利用されていたことを知る人は少ないのではないでしょうか。そして、その音楽を演奏しなければならなかった人たちの苦しさを、私には想像することができません。ただただ、今後、音楽がこのような使われ方をしないよう願うばかりです。
この本には、ナチス・ドイツの惨たらしい行為が描かれてはいますが、
私たち読者に希望を与えてくれます。読み終えたあとに見る表紙や見返しの絵が美しさは、より一層、その美しさを増したように思えます。
裏表紙に描かれたユダヤ人の人たちも一緒に、ヴェニスの街の美しさを味わうことができる世の中にしたいですね。
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生命(いのち)は失われてしまった……が
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投稿日:2010/10/01 |
戦争は、人の夢や希望までも失わせてしまう。
戦争は、絵を描くことが好きで好きで、絵を愛してやまなかった画学生の命も奪ってしまった。
しかし、彼らの絵には夢と希望がつまっていた。
そんな絵を求めて、作者は画学生の遺族を訪ねる旅に出る。
そうやって集めた絵を展示するために作られた美術館が「無言館」だ。
余計なものを省き、和紙に水彩で描かれた絵の一枚一枚が、文章と一体となって読み手に問いかける。
全体的に色調は暗いが、最後のページは希望に満ち溢れ、いつまでも、こんなのどかな風景であってほしいと願ってしまう。
作者はあとがきで、読者に約束してもらいたいことをいくつか記している。
「二度と戦争を起こさないこと」
「自分の生命(いのち)、他者(ひと)の生命、生命あるすべてのものを大切にして生きてゆくこと」
そうしなければ、この絵本の最後のページは、暗いものになってしまうだろう。
作者との約束を守るためにも、「無言館」に出かけてみたいと思う。
小学高学年から中学生に読んで欲しい一冊です。
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絵から聞こえてくる人の声
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投稿日:2010/10/01 |
こんなに街が細かく描き込まれていると、何だかワクワクしてきます。
表紙と裏表紙は一体となって描かれているので、本を広げてみると街の様子がよくわかります。
この絵本には、扉にしか文章はありません。
「これから、あっちゃんは、おとうさんと おかあさんと あかちゃんと いっしょに おふろやさんに でかけます。」だけです。
あとはすべて絵なのです。
でも文章がなくても、内容はわかります。
人の表情や街の様子がすべてを語ってくれます。
だからこそ、細かいところまでよく「読んで」くださいね。
お風呂屋さんの中を描いた絵からは、いろいろな人の声が聞こえてきます。
体重計に載ったおじさんの「また増えてるぞ」というつぶやきや、追いかけっこしている子どもたちの「まて〜」という叫びや、その騒ぎに「うるさい!」と叱るおじいさんの声。シュンという音がしそうな叱られてうなだれている子どもたちの姿。
こんな絵本を読んだら、子どもたちはお風呂屋さんに行きたくて仕方なくなるだろうなあ。
そうそう、やっぱり風呂上りには、いちご牛乳は欠かせませんよね。
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