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どうぶつのわかっていること・わかっていないこと

どうぶつのわかっていること・わかっていないこと(小学館集英社プロダクション)

『世界一受けたい授業』で紹介!京大の動物博士監修の「答えのない問いに向き合う力」を育てる新感覚の絵本

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夏の雨さんの声

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自信を持っておすすめしたい 玄冬ファンタジー物語   投稿日:2024/09/17
月さんとザザさん
月さんとザザさん 作・絵: 角野 栄子
出版社: 小学館
毎年敬老の日が近づくと、読書推進運動協議会というところから、敬老の日に合わせた「読書のすすめ」というリーフレットが発行されます。
 そこで紹介されている本の中の一冊に、角野栄子さんの『月さんとザザさん』という本がありました。
 角野栄子さんといえば、『魔女の宅急便』などで知られる児童文学者で、児童書のノーベル賞ともいわれる国際アンデルセン賞も受賞していています。
 だからでしょうか、この本はジャンルでいえば児童文学に区分されるのでしょうが、それを敬老の日の対象になるであろう読者に推薦しているのだから、選んだ人に拍手を送りたくなります。
 児童文学だからといって、大人が読んではいけないという決まりはないし、ましてや少し大きめの活字は年老いた読者にはうれしい。

 「ザザさんはおばあさんです。」という一文から、この物語は始まります。
 ザザさんは朝から晩まで文句ばかりいうひねくり者で、ついには住んでいる「スミコさん」という名前の家まで家出してしまうくらい。家に名前があったり、家が家出したり、そんなことあるわけないと思ったら、楽しい物語に入っていけません。
 そんなザザさんに空の月が話しかけてくれます。
 月さんの話を聞くことで、次第にザザさんの心はほぐれていきます。
 幼い頃の「父さんのいす」と出会ったり、そこで聞いた子守歌を思い出したりします。

 一時期「玄冬小説」という言葉が流行ったことがありました。歳をとるのも悪くない、と思えるような小説をいったようですが、さしずめ角野さんのこの物語は「玄冬ファンタジー物語」といえそうです。
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自信を持っておすすめしたい とても愛くるしいがいこつ?   投稿日:2024/09/15
がいこつ
がいこつ 作: 谷川 俊太郎
絵: 和田 誠

出版社: 教育画劇
詩人谷川俊太郎さんの活動は、もちろん詩作がメインではあるが、
絵本の出版も数多い。
案外絵本作家として谷川さんを知ることも多いのかもしれない。
絵本『がいこつ』も、谷川さんの詩から生まれた作品である。
初出は1999年に出た詩集『みんなやわらかい』。
この絵本が作られたのは2005年。(2024年6月に教育画劇から再刊)

絵本は文だけでなく、絵もとても大切な要素。
絵本『がいこつ』の場合、絵を描いたいるのは和田誠さん。
和田さんは谷川さんと多くの絵本を手掛けていて、この作品でもユニークながいこつの絵など、
文と巧みに競演している。
それでふと思うのだけれど、もしかしたら和田さんの絵でなかったら、
谷川さんの詩のもつ世界も随分ちがったものに見えるのだろうということ。
例えば、安西水丸さんの絵なら、どうだろう。
荒井良二さんなら、長谷川義史さんなら、酒井駒子さんなら、どうだろう。

多分、詩はどんな絵であろうと拒まないはずだ。
だから、絵本を読んだあとは、詩として読むといい。
岩波文庫から出ている『自選谷川俊太郎詩集』にも詩『がいこつ』は載っている。
詩を読んでどんな「がいこつ」を、あなたなら描くだろうか。
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自信を持っておすすめしたい 大人も楽しめる星新一   投稿日:2024/09/01
星新一ちょっと長めのショートショート(3) 悪魔のささやき
星新一ちょっと長めのショートショート(3) 悪魔のささやき 作: 星 新一
絵: 和田 誠

出版社: 理論社
『星新一ちょっと長めのショートショート3(理論社)。
 表題作である「悪魔のささやき」をはじめとして、9篇の「ちょっと長めのショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品に挿絵がついています)は、和田誠さん。
 『ショートショートセレクション』シリーズの場合、ひとつのお話に一枚の和田誠さんの挿絵でしたが、このシリーズでは2枚あったりして、こちらも「ちょっと多め」。

 一番面白かったのは「あと五十日」。
 五十歳を過ぎたばかりの男のそばに突然やってきた、やせた陰気な男。
 陰気な男がこうささやく。「あと五十日でございますよ」
 それから毎日、陰気な男がささやく日数は減っていく。
 男はそれまで何事もなく順調だった。仕事も、家庭も、自身の体力も。
 この陰気な男は死神か? そして、毎日減っていく日数は?
 これがもし自分に起こればどうするだろう。
 子供たちならこのショートショートも楽しく読めるのだろうが、シニア世代ともなればつい自分のことのように考えてしまう。
 恐ろしきかな、星新一。

 もうひとつ、巻頭の「すなおな性格」も、シニア世代にとっては深刻な物語。
 自分で何事も決められない男は、人生の岐路のたびに占い師の予言を素直に聞いて生きていく。失敗もすれば成功もする。占い師の予言のままに人生を歩んできた男は、これでいいのかと立ち止まり、そして向かった先は…やはり占い師。

 星新一のショートショートは子供だけでなく、大人はより楽しめます。
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自信を持っておすすめしたい これはもともと上方落語の噺   投稿日:2024/08/25
千両みかん
千両みかん 作: もとした いづみ
絵: 長谷川 義史

出版社: フレーベル館
落語絵本といえば、絵本作家川端誠さんが数多く作品を出していて、
 何冊か楽しく読ませてもらいました。
 この『千両みかん』も「絵本で落語!」とあるように、
 落語の噺を絵本にしたものです。
 文を書いたのが、もとしたいづみさん。絵本と童話の作家です。
 絵は長谷川義史さん。
 「千両みかん」という噺が、もともと上方落語であったところから、
 関西出身の長谷川さんが描くことになったのでしょうか。
 表紙の青白い顔をした若旦那がうれしそうにみかんを食べている姿など、
 ここでも長谷川さんの関西風の笑いにあふれています。

 ところで、この若旦那がどうして青白い顔をしているかですが、
 若旦那、みかんが食べたいばかりに寝込んでしまっているのです。
 この大店の番頭が若旦那の病気がみかん欲しさだと聞きつけて、
 ならばさっそくみかんを買ってきますと安請け合いをしたばかりに騒動が起きます。
 昔はいつでもみかんが食べられるわけではなく、
 夏にみかんはどこにもありません。
 もし、みかんを探せなければ、安請け合いした番頭は罪に問われると脅され、
 番頭は町じゅうを探し回ります。
 そして、やっと見つけたみかん。
 その店の旦那は訳を聞いて、ならばタダで結構というところ、
 番頭はここでも安請け合いをして、値段をつけてほしいと頼むのです。
 そこで、ついた値段が、みかん一個千両!
 さてさて、この噺のオチはどうなるか。

 この番頭のなんともいえないバカ面は、
 そういえば関西のお笑い芸人に似ていなくもありません。
 長谷川さん、どなたの顔を思い浮かべて描いたのでしょう。
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自信を持っておすすめしたい あの名作漫画が絵本になりました   投稿日:2024/08/18
火の鳥 いのちの物語
火の鳥 いのちの物語 作・絵: 鈴木 まもる
原作: 手 治虫

出版社: 金の星社
この絵本の出版広告を見つけた時、正直驚きました。
 漫画の神様・手塚治虫さんの代表作ともいえる『火の鳥』が絵本になったというのですから。
 しかも、文と絵をかいたのは、鳥の巣研究家でもある絵本作家の鈴木まもるさんというのですから、
 きっと鳥の表情とか上手くできているのでしょうね。
 でも、手塚治虫さんの『火の鳥』の愛読者であれば、こう思うのではないでしょうか。
 あの作品は過去から未来へとわたる大叙情詩でもあって、
 そういったロマンがどう描かれているのかと。

 鈴木まもるさんは1952年生まれで、中学生の時に手塚さんの『火の鳥』に出会ったといいます。
 絵本『火の鳥』は、鈴木さんが手塚さんの漫画から受けた精神のような世界が描かれています。
 つまり、手塚さんの『火の鳥』の物語からうんと離れています。
 それでいて、手塚さんがあの作品で描きたかった核のようなもの、
 それはきっと生命の大切さであり、人間があるべき姿を描いています。
 手塚治虫さんの漫画『火の鳥』は、半世紀以上の時を経て、
 絵本作家の鈴木まもるさんがこしらえた絵本『火の鳥』へとつながるのです。

 そのこと自体が、手塚治虫さんが『火の鳥』に込めた思いといえます。
 この絵本を読んだ子どもたちが、また新しい火の鳥を見つけることを願います。
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自信を持っておすすめしたい 1970年のこんにちは   投稿日:2024/08/11
大阪万博1970
大阪万博1970 作: 藤川 智子
監修: 白井 達郎

出版社: ほるぷ出版
最近何かと物議となる「大阪万博2025」。
 開催が2025年4月ですから、すでに1年をきっています。
 今回のテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」。
 さてさてどんなデザインを見せてくれるのか。

 それでも昭和世代にとっての「大阪万博」といえば
 やっぱり1970年に開催されたもの。
 そして、思い出すのは三波春夫さんが歌ったこんな歌。
 「こんにちは こんにちは 西の国から/こんにちは こんにちは 東の国から」
 「世界の国からこんにちは」というこの歌は
 1970年の大阪万博のテーマソング。

 そして、なんといっても「太陽の塔」。
 デザインしたのは岡本太郎さん。
 当時すごく斬新と思えたものですが、今ではこの時のテーマ、
 「人類の進歩と調和」をシンボライズしていたことに感動さえ覚えます。

 そんな1970年の「大阪万博」を絵本にしたのが
 この『大阪万博1970』。
 描いたのは、藤川智子さんという大阪生まれの絵本作家。
 当時のパビリオンの外観だとか、展示内容やそれぞれのパビリオンで案内していた
 女性のユニフォーム姿など克明の描かれていて、
 まるで「タイムカプセル」を開いたようなワクワク感が満載の絵本になっています。

 当時15歳だった私も、会場に行ったことは間違いないのですが、
 人気パビリオンは長蛇の列で入れなかったように思います。
 絵本を開きながら、それでもこの時より
 人類は確かに進歩したとは思います。
 でも、調和はできたのでしょうか。
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自信を持っておすすめしたい 落語絵本でお笑いを一席   投稿日:2024/08/04
落語絵本1 ばけものつかい
落語絵本1 ばけものつかい 作・絵: 川端 誠
出版社: クレヨンハウス
落語と絵本の関係を、この『ばけものつかい』という落語絵本を書いた川端誠さんは、
 こう書いています。
 「落語にはオチがあり、そこにいたるまでを面白おかしくしゃべるわけですが(中略)、
 こんな噺を視覚的にやろうとしているのが絵本であって、ですから、絵本と落語はけっこう近く(以下略)」と。
 ただ川端さんは落語をそのまま絵本にしているのではなく、
 絵本ならでは工夫もされています。

 ケチなご隠居が住みはじめた、化け物がでるという家に最初に出てきたのは一つ目小僧で、
 ご隠居さんは怖がることもなく、一つ目小僧に家事を言いつけ酷使します。
 次の夜に出てきたのは、ろくろっ首の女。
 実際の落語では、顔の青白い幽霊みたいな女らしいですが、
 ろくろっ首の女に変えることで絵に動きがでています。
 ご隠居はこの女も酷使します。
 最後は三つ目の大入道。落語の噺では、まだこのあとにのっぺら坊も出てくるようですが、
 川端さんは三つ目の大入道でおしまいにしています。
 実はこれらの化け物はみんなタヌキが化かしていたもので、
 「化け物つかいの荒い人は初めて」と逃げ出すのが、噺のオチ。
 絵本の最後のページの、なんだか頼りなさそうなタヌキの表情が笑いを誘います。

 こんな絵本を読むと、実際の高座で噺を聞いてみたくなります。
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自信を持っておすすめしたい おしゃれなフランス映画で見たいもの   投稿日:2024/08/01
星新一ちょっと長めのショートショート(2) 恋がいっぱい
星新一ちょっと長めのショートショート(2) 恋がいっぱい 作: 星 新一
絵: 和田 誠

出版社: 理論社
『星新一ちょっと長めのショートショート2(理論社)。
 表題作である「恋がいっぱい」をはじめとして、8篇の「ちょっと長めのショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品に挿絵がついています)は、和田誠さん。
 『ショートショートセレクション』シリーズの場合、ひとつのお話に一枚の和田誠さんの挿絵でしたが、このシリーズでは2枚あったりして、こちらも「ちょっと多め」。

 表題作の「恋がいっぱい」がいい。
 和田さんが表紙の装画で描いているように、このショートショートの出てくるのはかわいいキューピット。
 恋のキューピットって、昔はよくいわれたもので、この子ができることは弓で矢を射ることだけだが、この矢が特別。
 二本の矢で一組で、矢に命中すれば恋におちる。
 ひょんなことからキューピットが幻覚剤を飲み込んでしまったから、大変なことに。
 何しろキューピットがむやみやたらに矢を射るものだから、車と車が恋におちたり、敵同士の男女のスパイがひきつけあったり、サクラとブドウが恋したり、もう世界は大混乱。
 そんなお話だけど、ちょっとオシャレなフランス映画にでもなりそう。

 その他、サイボーグの男が地球規模の陰謀を未然に防ぐもののそのことに気付かない普通の人間の冷たい視線に絶望する「凍った時間」などは、アメリカのSF映画で制作されても面白そう。

 もっともそうなれば、「ちょっと長め」ではなく、「かなり長め」が必要になるかな。
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自信を持っておすすめしたい ウェルビーイングって何?   投稿日:2024/07/28
タケシのせかい
タケシのせかい 作: 室井 滋
絵: 長谷川 義史

出版社: アリス館
女優・室井滋さんが文を書き、絵本作家・長谷川義史さんが絵を担当、
 そんな絵本はもう何冊になるでしょうか。
 今回の絵本『タケシのせかい』はさらに室井さんの故郷である富山県とも連動しています。
 絵本のあとがきにあたる「読者のみなさんへ」という短文で、
 室井さんはこう書いています。
 「私の故郷富山はウェルビーイングにとっても熱心な県です。」
 これは「ウェルビーイング」の絵本なんです。

 「ウェルビーイング」とは、何でしょう。
 英語で表すとWell-being(ウェルビーイング)。
 Well(よい)とBeing(状態)が組み合わさった言葉で
 「身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念」だそうです。
 ちなみに富山県のHPを開くと、
 「一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きる〜”幸せの実感”「ウェルビーイング」の向上を目指して」と
 出てきます。

 この絵本ではタケシくんという男の子がお父さんからの謎の手紙に導かれて、
 自身の「ウェルビーイング」を見つけていく、
 そんな構成になっています。
 例えば、「なかよしの子」の話や「学校の先生」のこと、
 「外で気になること」といった質問の答えることで、
 タケシくんは自分を見つめ直すことになります。

 室井さんはおしまいの短文でこうも書いています。
 「大切なのは自分の気持ちを整理して、友達や周りの人々の考えにも耳をかたむけることではないかしら。」
 この絵本をきっかけに「ウェルビーイング」を考えてみましょう。
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自信を持っておすすめしたい この絵本で、つまんないを解消   投稿日:2024/07/21
つまんない つまんない
つまんない つまんない 作: ヨシタケシンスケ
出版社: 白泉社
ヨシタケシンスケさんは今や一番人気のある絵本作家である。
 注目をあつめたのは、第6回MOE絵本屋さん大賞を受賞した『りんごかもしれない』(2013年)。
 そのあとは、もう出す本出す本がベストセラーになる勢い。
 この『つまんない つまんない』は2017年5月、刊行された絵本。

 ヨシタケさんの絵本の面白さは、「発想絵本」と呼ばれることもあるように
 読者にいろんなことを考えさせてくるところにある。
 この絵本にしてもそうで、
 おもちゃにもテレビにもあきてつまんないと嘆いている男の子とともに
 つまんないをどのようにつまんなくしていくかを考えることになる。

 男の子は考える。「ずっとなにかが同じなのがつまんないのかも」って。
 それで、男の子は少しずつ座る場所を変えたらどうだろう、ズズズ、ズズって。
 でも、やっぱり面白くないな。
 そのうちに、つまんないというのはどういうことか、考えはじめる。
 「自分と関係ないからつまんない?」「自分の思い通りにならないからつまんない?」って。
 さらには、「一番つまんないのは何歳だろうか?」なんて考えたり。

 「つまんない」ということで、こんなに考えたこと、あったっけ?
 この絵本で「つまんない」を考えていくと、
 きっとつまんなくなっている自分に気がつくはず。
 これこそ、ヨシタケさんのマジック?
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