読書の普及の推進で文化の向上と社会の進展に寄与する目的で結成された読書推進運動協議会は、
毎年成人の日と敬老の日に合わせて、「読書のすすめ」というリーフレットを作成しています。
2025年の「敬老の日読書のすすめ」の中の一冊として紹介されていたのが、
スージィさんの『さんにんだけのないしょのはなし』。
リーフレットで「関西弁ではずむ三人の会話とファンタジックな絵が魅力」と紹介されていて、
これは第40回日産童話と絵本のグランプリ絵本大賞受賞作品で、つまり絵本ですが、
絵本だといって子供だけが読むものでもなく、
ましてやこの絵本の登場する三人の女性はすっかり老女なのです。
つまり内容は大人の、それもシニアの人の心にぴったりとはまる絵本なのです。
みっこちゃん、トラちゃん、タエちゃんは幼馴染の仲良し。
今はお年寄りのための家で暮らしています。
そんな三人がある日、庭を抜けて竹林の中に入っていきます。
この竹林の絵を「日本画を思わせる」と絵本作家の黒井健さんは評していますが、
竹林だけでなく作者のスージィさんが草花を描く力量はしっかりしていて、
そのあたりも大人の読者を満足させるでしょう。
竹林を抜けると、なんと三人は懐かしい子供の頃に戻っています。
三人が体験したのは夢でしょうか。
もしかしたら、誰もがそんな竹林をもっていて、懐かしい子供時代に戻れることができるのかもしれません。
そんなことを気づかせてくれる、そんな絵本です。