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瑞雲舎15周年記念企画のご紹介です。

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今年15周年を迎えられた瑞雲舎さん。「絵本ナビの読者の方へ向けて何か面白い企画を・・・」と考えてくださって実現したのが今回の豪華サイン本まつり&色紙プレゼントキャンペーンです。そして更に、瑞雲舎井上富雄社長へのインタビューもご紹介します。普段なかなかお伺いできない貴重なお話となっていますよ。サイン本、色紙にご協力頂いた絵本作家さん達との出会いのエピソードなどもお伺いしています。サイン本が完売してしまった後も是非合わせてお楽しみください!  

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 ■豪華サイン本のご案内・・・好評につき完売致しました。
 ■サイン色紙プレゼント・・・あの作家さんの直筆です!
 ■社長インタビュー
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■ まずは豪華サイン本ラインナップのご紹介です。                         

※好評につき完売致しました。                                                       
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●やなせたかし直筆サイン本『あれはだれの歌-やなせたかし 詩とメルヘンの世界-』 
●かこさとし直筆サイン本『どうぐ』
●味戸ケイコ直筆サイン本『夢の果て-安房直子十七の物語-』
●黒井健直筆サイン本『HOTEL(ホテル)』

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●中川宗弥直筆サイン本『みいくいおひめさま』
●舟崎克彦直筆サイン本『なんでもはかせのなんでもパンツ』
●和田誠直筆サイン本『ことばのこばこ』
●秋山とも子直筆サイン本『おとうさん』


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●早川純子直筆サイン本『はやくちこぶた』
●バーナード・ワッツ&松岡享子直筆サイン本『まつぼっくりのぼうけん』
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<<読み聞かせ絵本シリーズ全5冊>>

●飯野和好直筆サイン本『瓜子姫っこ』
●堀越千秋直筆サイン本『ふるやのもり』
●朝倉摂直筆サイン本『お月お星』
●太田大八直筆サイン本『狐とかわうその知恵くらべ』
●片山健直筆サイン本『天さあがった男』

■ 貴重です!豪華直筆サイン色紙プレゼントキャンペーン。                    

今回、5人の作家さんが絵本ナビ読者の為にイラスト入りの直筆サインを描き下ろしてくださいました!

★プレゼントキャンペーン期間中
 【2009/7/8(水)~7/22(水)】・・・キャンペーン期間は終了致しました。
瑞雲舎さんの作品を一冊以上お買い上げ頂いた方の中から、抽選で5名様に下記の色紙のうちいずれか1枚をプレゼントさせて頂きます。

瑞雲舎さんの作品はこちら>>>

早速その貴重な色紙のご紹介を、瑞雲舎井上社長との出会いのエピソードと共にご紹介します!


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【やなせたかしさん直筆サイン色紙】
やなせたかし先生とは、35年ほど前、月刊「詩とメルヘン」の編集部時代お世話になりました。 まだ20代のころで、先生や奥様に可愛がっていただきました。地方でのサイン会などに同行することも多く、楽しい思い出がたくさんあります。

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【かこさとしさん直筆サイン色紙】
かこさとし先生とは、2001年『どうぐ』の復刊のときからのお付き合いです。それいらい『土木の歴史絵本全5巻』『海を渡った日本人シリーズ』などをご一緒に仕事をさせていただきました。

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【味戸ケイコさん直筆サイン色紙】
味戸ケイコさんとは、「詩とメルヘン」時代にたくさんの作品を描いていただきました。特に安房直子さんとの17の作品は、思いで深いものです。ようやく2005年に一冊の作品集『夢の果て』として出版することが出来ました。

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【飯野和好さん直筆サイン色紙】
飯野和好さんとは、やはり「詩とメルヘン」でイラストレーションを描いていただいたのが最初です。『瓜子姫っこ』は鈴木サツさんの昔話の語りに絵をお願いしました。作品が完成するまで足掛け3年以上かかりました。でも待ったかいがあって美濃の和紙に素晴らしい絵を描いてくださいました。なんと印刷も美濃和紙にした豪華版です。

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【早川純子さん直筆サイン色紙】
早川純子さんとは、2005年に言葉あそび絵本の企画をしたときに初めてお会いしました。早口言葉を一冊の絵本にするため、構成もお任せしたところ1年半以上かかって斬新なラフを描いてこられました。3匹のこぶたとオオカミのストーリー仕立ての内容に驚きと、その面白さに脱帽しました。

★その他サイン本にご協力して下さった作家さんとのエピソードもご紹介します。

kotoba_blog2.jpg【和田誠さん】(『ことばのこばこ』)
和田誠ことばのこばこ』について、この絵本はある図書館員の皆さんとの集まりがあった際、強く復刊を希望されました。さっそく和田誠氏にご連絡さしあげたところ、原画がないので、もし印刷所にフィルムが残っていたら復刊してもよいといわれました。原書の出版社すばる書房は倒産していたため、奥付で印刷所をつきとめ、訪ねていったところ廃棄寸前の状態でした。おかげさまで1995年の復刊以来、毎年のように増刷をかさねております。

tensa_blog2.jpg【片山健さん】(『天さあがった男』)
片山健=絵『天さあがった男』については、遠野の方言の昔話絵本全5巻のうちの第3巻目の作品に絵を依頼しました。片山さんも鈴木サツさんの語りを生で聞いたということで、2年をかけてキャンバスに油絵で力作を描いてくださいました。

sign_blog3.jpg【バーナード・ワッツさん、松岡享子さん】(『まつぼっくりのぼうけん』)
バーナード・ワッツ=絵 松岡享子=訳『まつぼっくりのぼうけん』について、この絵本は2007年にボローニャ国際児童図書展に行ったとき見つけました。日本に帰って翻訳をどなたに依頼しようか考えていたところ、昔「松の実文庫」を主宰していらして現在東京子ども図書館の理事長の松岡享子さんが浮かびました。ご連絡したところ、快く翻訳の仕事を引き受けてくださいました。今回はイギリスに住んでおられるワッツさんに絵本を送ってサインしていただき、さらに松岡先生に連名でサインしていただいた貴重な絵本です。

minikui_blog2.jpg【中川宗弥さん】(『みにくいおひめさま』)
中川宗弥=絵『みにくいおひめさま』については、昨年「復刊ドットコム」やWEBサイトで、この本の復刊を希望される声がたかまっておりました。中川先生にお話したところ、40年以上前なので原画が見つからないとのことでした。なんとかしようとお伺いしたところ幸いにも、原画が見つかりました。ただ印刷技法が古い時代の2色、3色の印刷のため、現在のデジタル製版ではうまくいきそうにありませんでした。そこで印刷所の技術者に協力していただき、不要な色を抜く作業を教えていただき、印刷可能になりました。出来上がりに、中川先生も満足され大変喜ばれました。


 
■ 瑞雲舎の井上社長にインタビューさせて頂きました。                            

続いて、瑞雲舎社長井上富雄さんへのインタビューをご紹介します。「瑞雲舎」立ち上げのエピソードから復刊絵本への想い、読者へのメッセージまでお伺いしました!


今年で15周年を迎えらたという事ですが、瑞雲舎を立ち上げられたきっかけとなった作品、またエピソードなどがございましたら教えて頂けますか?

今から15年前、勤めていた会社を退職してから半年間、近所の公立図書館に通いました。そこで絵本を中心に調べていたところ、多くの本が絶版になっていることに気がつきました。たとえば瀬田貞二著『絵本論』のなかに出ていた、行きて帰りし物語の傑作とされた『あひるのピンのぼうけん』(マージョリー・フラック=文 クルト・ビーゼ=絵)はどこを探しても見つかりませんでした。あるとき石井桃子先生にお会いしたとき、兵庫県のある図書館で、英語の原書に訳文を貼って読み聞かせに使っているということをお聞きしました。その図書館を訪ねてその現場を見ることが出来ました。翻訳されていたのが間崎ルリ子さんで、さっそくご相談したところ、いくつか手直ししてくださいました。版権交渉もうまくいきその年の11月に発売することが出来ました。その後も『シナの五にんきょうだい』や『ことばのこばこ』など次々に復刊してまいりました。


多くの名作絵本を復刊されている印象のある瑞雲舎さんですが、『ちびくろ・さんぼ』『シナの五にんきょうだい』などに代表される様な、特に訳あって長い間絶版になっていた絵本を復刊するという事はかなりのエネルギーが必要なのではないでしょうか?

絵本の復刊については、絶版になった作品の中で、内容的に問題ないのにもかかわらず、単なる言葉狩りのような理由で消えてしまった絵本、例えば『シナの五にんきょうだい』はシナという言葉だけで、『ちびくろ・さんぼ』はサンボという表現だけで出版されなくなりました。いずれも多くの子どもたちに愛読されていた絵本です。私どもはそれぞれの問題点をしっかりと把握したうえで、何ら問題ないと判断したうえで復刊をしてきました。いずれの絵本も元の出版社とのやりとりに相当なエネルギーがいりましたが、それに屈せずに主張を通して復刊にふみきりました。結果は現在も増刷をかさね、多くの読者に喜ばれています。本当に苦労が報われました。
しかし私としては、倒産している場合は別ですが、元の出版社が復刊してくれるのが一番だと思っています。そのきっかけになれば、それでよいと思います。

▼参考
特別寄稿「ちびくろ・さんぼが帰ってきた!」(月刊文藝春秋2005年6月号掲載)
『ちびくろ・さんぼ』の復刊への想いが綴られています。是非読んでみてください。


絵本を復刊される際に、特に大変な作業、また特に嬉しい瞬間・・・などを教えて頂けますか?

復刊を企画する段階で、まず著作権者の承諾を得ることからはじめますが、昔の出版物の場合どなたが著作権を継承されているか探すのが大変です。それと原画の有無も重要になります。原画の状態など退色していないかも気になります。原画のない場合でも現代の印刷技術の向上から、原本から上手にとることも可能になりました。この秋に復刊予定の『このラッパだれのかな』(まど・みちお=文 なかがわそうや=絵)も原画がなくて苦労しましたが、デジタルの技術で再現が可能になり、中川先生にも満足していただき、こちらも喜びをかんじております。


創作絵本にも精力的に取り組まれていますね。                                

はやくちこぶた』を例にしますと、企画段階では『ことばのこばこ』につぐ「ことばあそびえほん」を出したいと思いました。絵を依頼する人を探していたところ、早川純子さんが候補にうかびました。さっそく打ち合わせをしましたが、なかなか良いアイデアがでず、四苦八苦していましたが、とにかく「早口言葉」にすることが決まり、代表的な早口言葉を、ふたりで決めました。それからが大変でした。どのような構成にするかが重要でしたが、1年が過ぎたころ早川さんが、ラフ画をもってこられました。そのアイデアの面白さと構成の絶妙さに驚きました。その5ヵ月後、描きあげた原画をみて、その細密なイラストレーションの見事さにさらに感動しました。


今後どんな絵本を出版されていきたいと思いますか?                              

絵本は子どもから大人まで幅広い年齢層に楽しんでもらえる素晴らしい媒体です。ひとりでも多くの人々に共感と感動をいただけるような絵本を創りたいと思います。


子ども達には絵本をどんな風に楽しんで欲しいと思いますか?                                  
まず絵本を読んでもらうことから、面白さを知っていただき、自分で読めるようになったら、さまざまな本にチャレンジして「本当の読書の楽しさ」を体感してほしいと思います。


絵本ナビ読者の方へメッセージをお願いできますでしょうか?                        

絵本ナビのメンバーの皆様のレビューは、出版社にとってもとても参考になります。今後も復刊を希望される絵本がございましたらご提案ください。お待ちしております。


井上さん、ありがとうございました。
色々な人達の「想い」で成り立っている絵本の世界。出版されている方からお伺いするお話は、いつもとはまた違った視点でとても興味深く聞かせて頂きました。
こんな風に、これからも様々な角度から絵本をご紹介させて頂ければと改めて思いました。

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