
早くに父を亡くし、母とも離れ離れになっ た、たった二人の兄と弟。アンパンマンの作者やなせたか しが弟・千尋との思い出を綴った幼物語。本書のために書き下ろされたエッセイを特別収録。

やなせさんは、巻末のエッセイで
「この詩集は、ぼくだけの感傷として、弟へのレクイエムとして書いたもので、世間の人に読んでいただく気はなかった・・」と書いていて
確かに、とても私的な文章のように感じました。
だからこそ、弟と過ごした時間を
ずっと心の大事な部分にしまっていて
それを見せてもらっているような気持ちにもなりました。
やなせさんの幼少期は、
ちょっと普通の家族とは違い
そのために、複雑な気持ちを抱えていたことを
この詩集の中では、とても素直に書かれています。
また
人生にタラればは禁句だが・・としつつ
もし弟が生きていれば、父が生きていれば・・と回想し
でも、そうはなかったところで
今(とても幸せだと、実は感じている)があるのだということも
噛みしめてらっしゃるように感じました。
人生の終盤に際かかった今
とても心にしみる一冊になりました。
(やこちんさん 50代・ママ 女の子20歳)
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