すいちゃんはいそがしい
- 企画:
- こどもの視点ラボ
- 写真:
- てんてん
- 出版社:
- Gakken
絵本紹介
2025.07.07
遊んで笑って、歌って踊って、怒って泣いて、また遊んで。すいちゃんの一日はとっても長くて忙しい! 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『すいちゃんはいそがしい』。「こども視点ラボ」による定点観測写真絵本、いったいどんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
この大忙しのすいちゃんの行動がひと目でわかってしまうのがこの絵本。定点にカメラを置いてすいちゃんの行動を撮影し、それを1枚の写真におさめているのです。
すると、部屋の中にも、公園にも、ベッドの上にもすいちゃんがたくさん! 言葉で説明するより先に、いかにすいちゃんが1つの場所でいろんなことをしているのかが直観的に伝わってきます。
「うーん、この感じわかるわかる!」
思わず誰もが共感してしまうのは、最後に登場する寝相のシーン。
このヘンテコでおもしろい絵本は、子どもの当事者視点とはどんなものかを真面目かつ楽しく研究している「こどもの視点ラボ」の研究の1つから生まれたのだそう。小さな子どもにはまだ時計の時間感覚はなく、身につくのは9〜10歳くらい。小さな子どもたちは、起こった出来事の多さで時間の長さを感じるからこそ、「子ども時間」というのが大人に比べていかに長いのかという事がわかります。
さらに具体的に「すいちゃんの1日のできごと」を書き出してみると……!!
子どもの視点で子どもの時間を伝えるこの絵本。こんなにも豊かで充実した時間が流れているならば、大人だって一緒に楽しまない手はないですよね。子どもにとっても大人にとっても、「目からウロコ」な一冊です。
公園に行った記憶は……
大人にとって公園に行ったことは「ひとつのイベント」として記憶するけれど、子どもにとっては、そこで何をやったのかという「たくさんのイベント」として記憶をしていくとのこと。確かに息子と公園に行ったあの日々を、「ダンゴムシを探した」「猫と遊んだ」「セミとりをした」「鉄棒にチャレンジした」……と一つ一つにわけていくと、まったく違う景色が思い浮かんでくるのです。子どもの視点で時間を考えてみることは、大人にとっても発見にあふれている予感がします。そんなことを考えていると、むやみに「早くしなさい!」「急ぎなさい!」なんて言えなくなるかもしれませんね。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。