
「この秘密は墓場までもっていけ」――そんな無法がゆるされるのか? どんな大義があろうと戦争は徹頭徹尾おぞましい。それを直視し、忘却してはならない。 フィクションを通じて、戦争犯罪の社会的隠ぺいの構造を問う意欲作。 [ものがたり]戦争孤児から苦学の末フリーのジャーナリストとなった紘一は、戦後の暗部からやがて「七三一部隊」の闇に引き寄せられていく。真実を追求する過程で逢着した行方不明だった姉の消息。物語は終戦間近の旧満州にさかのぼる。部隊の撤収時に何が起こったのか? そして隅田川の遺体はだれなのか?……
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