「わたし、学校、いきたく ないみたい」
一年生のマユは、朝から胸の中がモヤモヤしています。
「どうして?」と驚いてたずねるパパに、
どうしてなんだろう。
べんきょうがつまらない? きゅうしょくがいや? いや、なんか自由じゃないのが嫌なのかも。
といろいろな理由をつぶやきながらも、胸のモヤモヤが晴れないマユ。
今日は五時間目のせいかつでしゃぼんだまをやる日。しゃぼんだまをたくさん作るための「ひみつのどうぐ」として、とっておきのストローをたくさん準備してくれたママは、マユを励ますように送り出します。
学校では、一緒にいるのに友だちにだけ声をかけるみさきちゃんや、いつもマユのものを借りようとする隣の席の粗暴なぎんちゃん、おまけに給食にはきらいな野菜が出て……マユのモヤモヤはどんどん大きくなるばかり。そうしてしゃぼんだまのじかんがやってきて……。
なんとなく学校に行きたくないなって思う日、小学生のみんなもきっとあるでしょう。
でも「がっこうが、きらい」というのは言っちゃいけない言葉のようにも思えて『しょうがっこうが、きらいです!』というタイトルにドキッとした子も多いのではないでしょうか。
また、学校に行きたくないと思った時、マユと同じように自分でも理由が分かるような分からないような……と思うことも多いかもしれません。
でも、マユが学校で体験するあれこれをお話で読んでいくと、どうしてモヤモヤしていたのか、なぜ学校に行きたくないと思っていたのかがだんだん見えてきます。読むみんなも似たような体験をしたことがあるかもしれませんね。
そんなマユの心の機微を丁寧に描くのは、児童文学作家の山本悦子さん。学校での出来事のひとつひとつや友だちとのやりとりに、子どもたちがいかに敏感に反応しているのか。小学生のみんなが読んだらきっと共感するでしょうし、大人が読むと、子どもの心の繊細さに気づくきっかけにもなるように思います。
その一方で、ちょっとしたことからモヤモヤが一気に消えて楽しくなれるのも、子どもたちが持っている大きな力でしょう。
すぐに解決できないこともあるかもしれないけれど、ずっとは続かない。朝は気が重くても、帰りにはすっかり気持ちが晴れているかもしれない……。
読むと心が温かく励まされるような一冊。モヤモヤした時には思いきって『しょうがっこうが、きらいです!』って宣言するだけでも気持ちが軽くなるかもしれませんよ!
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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