ある日突然、ぼくの家にやってきたのは、頭に一本の立派な角をつけた鬼。名前は「またべえ」。またべえは、ぼくが前に飛ばした紙ひこうきを手に持っていました。そこに書かれた「いっしょにあそぼう」という文字を見て、遊びに来てくれたと言うのです。
しかし、やっぱり鬼は怖いもの。けれども、ぐずぐずしていたら怒って暴れ出すかもしれない……。ぼくは仕方なく、またべえと遊ぶことにしました。
トランプをしている途中、またべえの角が目に入り「かっこいい」と褒めると、それはまたべえが毎日寝る前にみがいている自慢の角だと教えてくれました。ところが、みがくのは大変だからと、トランプに負けた代わりに角みがきをお願いされてしまいます。あせるぼくをよそに、またべえは頭から「ぽんっ」と角をひっこぬいて差し出し、「やくそくな」と言い残して帰ってしまいました。
それから毎日、またべえは遊びに来るように。毎回、角がみがけているかを確認されるので、ぼくは毎日欠かさずみがきました。けれど、オセロで負けてしまったある日、いつも勝負で負けてしまう自分に腹が立ち、ぼくは角をみがくのをやめてしまいます。次の日、みがいていない角を見たまたべえは、それきり姿を見せなくなってしまって……。
学校でもおとなしい方で、友だちも少ないぼく。突然やってきたまたべえは強引で、遊ぶことも角みがきもどんどん決めてしまい、そのたびにぼくは迷ったり焦ったりしてばかり。けれども、約束を破ってまたべえが来なくなると、ぼくは自分がまたべえに会うことを楽しみにしていたことに気づきます。そこで、ぼくが起こした行動とは?
もし突然鬼がやってきて、責任重大な角みがきを頼まれたら、誰だってとまどうでしょうし、面倒になってしまう気持ちも分かりますよね。でも一方で、またべえはどんな気持ちでぼくのところへやってきたのでしょうか。二人の気持ちを想像しながら、ぜひページをめくってみてください。
文字が大きく、漢字にはすべてふりがながついているので、はじめての「ひとり読み」にもおすすめの一冊。鬼と遊ぶというドキドキの展開ですが、二人が遊ぶ姿はとっても楽しそう。見かけは怖いけれど、実は人懐っこくて温かいまたべえはとっても気になる存在です。そんなまたべえとの不思議な友情がぼくの背中を押し、読む子どもたちをも優しく励ましてくれるような物語です。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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ある日突然、おにのまたべえがぼくの家にやってきた。前にぼくが「いっしょにあそぼう」と書いて飛ばした紙ひこうきを、またべえが拾ってもってきたのだ。驚いたけれど……しかたなくいっしょにトランプをすることにした。
ぼくがまたべえの角を褒めると、またべえは、自慢の角だと教えてくれた。毎日自分でみがいているけれど大変らしい。すると、ぼくがトランプに負けたからという理由も付け加えて、またべえの代わりに角をみがくように言われてしまった……。あせっているぼくに、またべえは頭から「ぽんっ」と角をひっこぬいて差し出し、「やくそくな」と言って帰ってしまった。
それから毎日またべえが来て、いっしょになわとびやオセロをして遊んだ。言われた通り、毎日角をみがいていたけれど、その日は、いつも勝負で負けてしまう自分に腹がたって、みがくのをやめてしまった。次の日、いつものようにやってきたまたべえは、みがいていない角を見て……。
約束をやぶってしまってから気づいた、本当の自分の気持ちとは……。
内気なぼくが、またべえとの約束を通じて成長していく前向きな気持ちになれる幼年童話。
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