
不気味で、おどろおどろしい……。「妖怪」といえばそんなイメージが浮かびます。この本の表紙の妖怪もやはり怪しげなのですが、どこか幽玄で、ほのかな温かみを感じる、そこがちょっと不思議。本を開いてみると……。
怖い夢を食べてくれる妖怪パクパク。おねしょを布団に染み込む前に舐めてくれる妖怪ペロベロ。妖怪三角は、テストて゛わからない漢字をそっと教えてくれるけれど、間違ってるらしい。彼らは心強い救世主ですが、どこか頼りない一面も……。
妖怪ハ゜タハ゛タは、心がしんと゛いときに、逃け゛たい心を手伝ってくれる。泣くのを必死て゛こらえているときは、代わりにその涙となってくれる妖怪ぽとり。子どもたちの不安や悲しみに、そっと寄り添ってくれる妖怪もいるんですね。
うれしい時、心がざわつく時、勇気が出ない時……妖怪たちを呼んでみてはどうでしょう。そっと手を差し伸べ、大きく深い瞳で、見守ってくれるはず!
(竹原雅子 絵本ナビライター)

子どもたちの心はたくさんの刺激に囲まれている。美味しいこと。嬉しいこと。ドキドキすること。楽しいこと。哀しいこと。淋しいこと。妬みごと。裏切りごと。腹立たしいこと。勇気がわいてくること。怒りごと。イライラすること。黙りごと。まだまだたくさんあるよ。そんな子どもたちの心にそっと寄り添い優しく力強く応援するために存在する妖怪たちを描いた絵本。
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