〈食べ痕は、森の食卓からのメッセージ〉
森を歩くと、落ち葉の音や
鳥のさえずりに心がほどけます。
けれど、目を少し低くしてみると、
そこにはもうひとつの森の姿が広がっています。
かじられたドングリ、穴のあいたクルミ、
散らばった殻や羽、掘り返された地面――
それらはすべて、動物たちが残した
「食べ痕」という落としものです。
本書『森の落としもの図鑑2 食べ痕』は、
森に残された食事の痕跡を手がかりに、
動物たちの暮らしを読み解く図鑑です。
食べ痕は、誰が・何を・どんなふうに
食べたのかを語る、静かな証言者。
歯形やかじり方、殻の割れ方、
散らばり方を読み取れるようになると、
森の中でくり広げられる“食のドラマ”が、
ぐっと立体的に見えてきます。
監修は、長年フィールドに立ち続けてきた
動物学者・今泉忠明先生。
実際の調査記録や観察にもとづき、
ドングリやクリ、木の実、草、根、キノコ、
小さな生き物まで、食べ痕から
落とし主を推理する科学的な視点を紹介します。
シマリスが自分のドングリを見分ける話や、
リスの「エビフライ」づくり、
クマやネズミの食べ方の違いなど、
現場ならではの発見や貴重な調査写真が
随所にちりばめられています。
絵は、動物たちのしぐさや表情を
生き生きと描く松井雄功さん。
食べるしぐさや食べ方がやさしく、
そして的確なイラストで図解され、
初めての人でも食べ痕の
見方が自然と身につきます。
本書では、「森の事件簿」を通して
季節ごとの食の移り変わりを追いながら、
食べ痕を探しに行くコツ、五感を使った
食べもの判断、植物性・動物性食物の違い、
親から子へ受け継がれる
食べ方の学習までを解説します。
ページをめくるごとに、
森が巨大な食卓であることに気づくはずです。
親子で楽しむ自然観察入門としても、
大人がじっくり読み解く
フィールドガイドとしても役立つ一冊。
次に森へ出かけるときは、
ぜひ足元の「食べたあと」に
目を向けてみてください。
そこから、もうひとつの森の物語が始まります。
■「シリーズ 森の落としもの図鑑」
1 足跡
2 食べ痕
3 うんち
4 動物のサイン
5 巣とねぐら
6 骨と歯
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