初版の基本姿勢を踏襲しながら昨今の社会情勢に応じ、職種職域を越えて利用できる新版として生まれ変わったベストセラー
エビデンス・ベイスドにより医療の科学性、客観性とは何かが問われ、治療援助の場が入院、入所といった専門施設からひとが暮らす生活の場が中心に遷るなかで、虐待や引きこもり、うつによる就労への影響、さまざまなハラスメント、震災時の緊急支援やそれにともなって生じる精神的問題など地域コミュニテイに関するものを統合した療法や関与が必須の時代を迎えている。それにともない、集団療法も対象や関与の視点が大きく変化してきている。
こうした社会情勢に応じ新版として生まれ変わった本書では、従来の集団療法の成書ではみられなかった、個と所属集団の間、および集団間のダイナミックスなど新たなダイナミックスや、パラレルな場(トポス)と称されている成熟させるが凝集させない、並行集団の特性を活かした作業療法特有の場の利用のしかたなどについて、その理論、技法、臨床の知と技をまとめて紹介する。
10章で採りあげた、「入院医療中心から地域生活中心へ」という医療の改革にむけて、新たな治療やリハビリテーションとして転換をはかる精神科領域における作業療法がどのような問題や課題を抱え、それをどのように改変したのかを調査分析し、こうした問題や課題を解決する課程におきたダイナミックスを詳述した事例は、ひとの集まりや場で見られる現象や精神科医療改革にむけた集団のもちい方の具体的な理解のために多くの示唆を与えるだろう。
新たに加わった終章では、ひとが集団や場の影響を受けて自分に気づき自己変容する個人の経緯を、著者の小集団体験を通して紹介する。
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