表紙に描かれたユーモラスな表情をしたオバケ。オレンジ色の方が、図書館にすんでいるオバケ、ぱらぱら・ぽん、青い方が、時計塔に住んでいるオバケ、ぐるぐる・ぼんです。いたずらが大好きなふたりのオバケは、いたずらをしてはびっくりする人を見て大喜び。そんなふたりがある夏の夜にしのびこんだのは、真夜中なのに明かりがついたままの部屋。そこでは男の子がひとりため息をついています。どんなにいたずらをしても驚かない男の子、ダイに、何があったのか話を聞くと、ダイは、妹の大事なバースデーケーキのイチゴがひとつなくなってしまったことに悩んでいたのです。いったいイチゴはどこへいってしまったのでしょうか?ぱらぱら・ぽんとぐるぐる・ぼん、初めての人助け?!さあ、「オバケたんてい」のはじまりです。
まずは現場検証…ということで、問題のケーキをじっくり観察したり、キッチンをくまなく調べたり。オバケとダイが一緒にひとつひとつナゾを解き明かしていくところにワクワクします。図書館のオバケだということと時計塔のオバケということもナゾ解きに大いに役立ったようですよ。
お話を書いているのは、『冬の龍』という作品で児童文学ファンタジー大賞奨励賞と椋鳩十児童文学賞を受賞されている藤江じゅんさん。オバケとの交流をはじめ不思議な世界が顔を出す楽しさにあふれているこちらの『オバケたんてい』は、読み始めたら続きが気になってどんどん読めてしまうはず。幼年童話よりも文字が小さめで読みごたえも十分あるので、特に小学2年生の後半から3年生ぐらいの子どもたちにおすすめです。
オバケに会ってみたい!という子はもちろん、オバケはこわいから苦手!という子も、本の中のゆかいなぱらぱら・ぽんとぐるぐる・ぼんに会いに行ってみませんか?
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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