人には聞こえない超低周波を使って会話をすることができるといわれている、ゾウとクジラ。 象牙を目的に、人の手より乱獲された結果、群れの中で最後の一頭になってしまったアフリカゾウは、はるか沖にいる友、クジラにむかって、自分たちアフリカゾウの来し方を静かに語り出した……。 愛する仲間たちをつぎつぎと見送り、いまは独りになってしまったゾウがクジラに伝えたかったこととは――? 作家・内田麟太郎氏が『エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか』(ライアル・ワトソン ・著, 福岡伸一、高橋紀子・翻訳/木楽舎)にインスパイアされて紡いだ意欲作。
ゾウの声は、クジラに聞こえて人間には解らないのですね。
最後の一頭になったメスゾウが、海に呼びかけてやってきたのはクジラでした。
ゾウは、最後の一頭として自分たちの歴史を語ったに違いありません。
人間に撃ち殺されて減っていった過去もありました。
絵本に直接には描かれていませんが、絶滅危惧種として保護された時代もあったでしょう。
しかしゾウの種族を維持できるほど、環境は優しくはなかったのです。
ゾウが伝えたかったのは怒りでしょうか。
自分にはそうは思えません。
運命を享受するだけではなかったでしょうか。
それにしても、伝えずにはいられないものを、ゾウは持っていました。
やっと伝えることができて、ゾウは感謝しながら死んでいきます。
絶滅していく動物たちの原因を作っているのは、直接的であれ間接的であれ人間であることは間違いないでしょう。
考えさせられました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
|