友だちとボール遊びをしていたバジは、「ねえねえ、新しい友だちがくるんだって」と聞いてちょっぴりわくわく……。だけど先生に紹介されて照れたように挨拶したその子の名は「しろの ばじ」くん。僕と同じ名前!?
それ以来、バジは、ばじくんが気になって仕方ありません。ばじくんはビン磨きもベルを鳴らすのも上手で、運動も得意です。僕だって負けないぞ! と思うけどうまくいかなくてモヤモヤ……。「ひとつくらい、ぼくのほうがじょうずなことがあってもいいのに」とバジはがっかりです……。
前半はバジの心の中が中心で、ばじくんの気持ちはあまり描かれていません。何でもできるばじくんが、後半ではバジのペースに巻き込まれ、ちょっとムッとしたりしながらどんどんバジとの時間に夢中になっていく、そんな姿も見どころです。
新しい友だちに出会うときは、互いに意識したりぶつかったり。そうして心の距離が縮まっていくのですよね。やさしいタッチの絵柄で、読後感は何だかすっきり! 子どもたちにエールを送りたくなる絵本です。作者は松丘コウさん。「第10回武井武雄記念日本童画大賞」絵本部門大賞受賞作『バジとあかいボール』に続く続編です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
自分と同じ名前の「ばじくん」に嫉妬するバジ。勉強もスポーツもなんでもできる「ばじくん」に、どうにか勝とうと考えます。『バジとあかいボール』続編!「第10回武井武雄記念日本童画大賞」絵本部門大賞作家の第2作!
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