とあるお店で眠そうな料理人が肉まんを作っています。「皮に中身をつめたら、あとは蒸すだけ。ふあぁ、昼寝でもしてくるか」と休憩室に行く料理人。その後を「ちょっと待ってよ!」と追いかける肉まんが……!? それは中身をつめ忘れたからっぽの肉まんでした。
「ぼくにも中身をつめてよ!」と言いますが、料理人は「中身は全部使い切ったから他のやつに分けてもらってくれ」と投げやりな返事です。しかも誰も中身を分けてくれません。からっぽの肉まんは「うわーん!」と店を飛び出しますが……。
ピザ屋さん、和菓子屋さん、カレー屋さんと次々店を訪ね歩くからっぽの肉まん。どこで中身をつめてもらえるのか、もらえないのか。続きはぜひ絵本を読んでみてくださいね。
真っ白くて、ふんわり、ふっくら。かわいい肉まんが中身をもらえずだんだん痩せていく様子にハラハラ。いつかぱんぱんにふくらんだ姿になれるのでしょうか。肉まんの頭のてっぺんに吹き出す湯気から、いいにおいがしてきそうな絵本。見返しには「肉まんの包み方」も描かれ、肉まん作りに挑戦したくなるかも!
本書は第10回MOE創作絵本グランプリ受賞作。『はにわくん』(絵本塾出版)でデビューしたまつながもえさんの作品です。ユニークな主人公で読者を引きつける、新しい作家さんのこれからが楽しみですね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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