著者(取材者)は歌の伴奏をするボランティア活動で訪れたデイサービスセンターで、利用者の語る戦争体験に耳を傾けるようになった。滋賀県長浜市在住の90歳前後の高齢者15人からそれぞれの体験を聞き取り、地方の少年・少女の日常にも必ず戦争が影を落としていた当時を、語り言葉そのままに記録。三度の命拾いを経て中国から復員した最後の現役兵(昭和19年に20歳)、東京大空襲で両親を亡くし集団疎開先で一人残された少女、軍港呉で乗艦し米軍の猛爆撃と広島への原爆に遭遇した少年兵、台湾の地で特攻訓練を受けながら戦闘機不足で生き残った少年飛行兵、中国での両親との恵まれた生活が一変し引き揚げでの苦難を経験した少女など。
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