森に生えている一本の木は、他のたくさんの樹木や草、虫や動物たちと一つの家族を作って生きています。特に大木になると、お父さんのように、自分よりも小さい、弱い者たちを守ったり、労ったりする大事な役目を持っています。
この絵本の主人公は、熱帯雨林に生える巨木、カポックの木です。あるとき一人の若者が斧を持って、カポックの木を切りはじめます。木は固く、若者は疲れて横になり寝入ってしまいました。
するとまずカポックの木を住みかにしている蛇が若者の耳にこうささやきます。
「そうやって、なにも知らずに切っているのだろうが、この木はわたしの家なのだよ。先祖代々みなこの木を住み家にしてきた。木を切られたら私はどこに住んだらよいのだろう?」
次に訪れたのは蝶たち。次は猿たち。インコなどの鳥も来ました。蛙も、ジャガーもヤマアラシもアリクイもナマケモノも来ました。そして最後にはヤノマモ族の子どもも来て、このカポックの木がどんなに大切であるかを切々と訴えました。
若者は目をさまします。みんなから聞いた話は、何も知らなかった若者にとって新鮮でした。若者の目に、森は光り輝いて見えました。若者は、もう一度斧をとってカポックの木を眺めました。
自分はどうすべきか、−しばらく考えたあとで、若者は斧をそこに置いて、森を出て行きました。
木を切らないほうがよいか、仕事なのだから木を切るのがよいのか、ということではなく、深く考えて自分のとる道を考えるのがよい、と作者は訴えているようです。
これは、あなたが考えるべき問題でもあります。
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