小学校4年生の「ぼく」は、学校の先生から授業で使う「竹馬」を持ってくるよう言われます。5歳までアメリカで過ごしていたので、竹馬がどんなものかわからないぼく。家に帰って伝えると、お父さんは仕事帰りにもかかわらずホームセンターで材料を買い、暗い夜の庭で手作りしてくれました。
一生懸命練習するものの、なかなか両足を乗せて立てないぼく。数日間、練習を休んでしまったぼくを叱ったのはお母さんです。
「お父さんが苦労して竹馬を作ってくれたのだから、乗れるようになるまでがんばりなさい」
練習を再開し毎日続けて、20メートルほどなら降りずに歩けるようになったある日、担任の先生から竹馬大会があるという告知があり……。
竹馬にまつわる、著者自身の幼い頃の記憶をたどった物語。時代は昭和でしょうか。それは運動会や遠足といった写真に残るような思い出ではなく、日々のなかの小さなできごと。でも夜の庭で竹馬を作ってくれた父の優しさや、背中を押してくれた母の思いとともに、ぼくの記憶にしっかりと刻まれています。当時の学校の風景、親子の関係、そして子どもの気持ちの揺れと成長が、真っ直ぐに丁寧に浮かび上がります。
目を瞑るだけで映し出される.、思い返すと静かに胸の奥が熱くなる。誰にとってもきっとある、幼ない心に刻まれたできごと、家族との思い出。記憶の奥に眠る懐かしい幼少期を、そっと振り返りたくなる一冊です。
(竹原雅子 絵本ナビライター)
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