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世界の国からいただきます!

世界の国からいただきます!(徳間書店)

世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!

絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  前代未聞のコラボレーション絵本!『おえかきしりとり』新井洋行さん、鈴木のりたけさん、高畠那生さん、よしながこうたくさんインタビュー

遊び心? オトコ心? 自由度満点! しりとりの内容は…?

───『おえかきしりとり』、スタートはかなりベーシックなやりとりからはじまりますが、「けむり」と「えんとつ」、「きんたろう」と「くま」など、2つのしりとりが合わさった絵があったり、前の方の描いた絵を次に人が真似して描いていたり、いい意味でどんどん自由になっていきますよね(笑)。 皆さんが楽しんで描かれているんだなーとすごく感じました。

新井:最初は「おえかきしりとり」のルールを伝えなければいけないから、みんな抑え目で…。



那生:「けむり」と「えんとつ」を描いたあたりから、自由度が高くなっていきましたよね(笑)。


のりたけ:いつも最初に那生さんが、遊び始めるんですよね。それを見て、ぼくらも「じゃあ、こうしたらどうだろう?」とアイディアの出し合いをはじめるんです。

───表紙もよく見ると、しりとりになっているんですよね。絵本の中で「おえかきしりとり」をやっている子どものデザインなどは、お互い相談し合ったんですか?

のりたけ:それぞれのキャラクターは自由でしたね。



こうたく:事前に、普通の子どもたちが「おえかきしりとり」で遊んでいる設定にしようって話したのに、いざ原画が出てきたら、那生さんのだけワニ被ってたんですよ。「那生さ〜〜〜ん!」って思いましたよ(笑)。

那生:ぼくは最初から被り物をかぶっている子にしようと思ってましたよ。だって、みんな普通の顔だと、並んだときに黒髪ばかりでインパクトが薄いかな…と思って。


構想段階の登場人物を特別に見せてもらいました!

───ラフ(下描き)を見ると、最初の頃の、のりたけさんのキャラもかなり個性的ですよね。

のりたけ:ランドセルに入ってますからね…。

───「おえかきしりとり」では、那生さんの力士をこうたくさんが真似して描いて、さらにその絵にのりたけさんが乗っかってくる…。他の作家さんの絵を引き継いで描くというやりとりもかなりレアですよね。


こうたく:『おえかきしりとり』でしか実現しないですよね。のりたけさんの描く「イエロボ」とか上手すぎですよ!

───「ビンタ」から「のっぺらぼう」までの流れがストーリー仕立てになっているところなんかも、さすが絵本作家さん!って思いました。

のりたけ:ラフの段階では「のっぺらぼう」の後もストーリーが続いていったんですが、終わりが見えなくなっちゃうので、一列で終わらせたんです。このページはみんな気に入っているところですね。

───「うんてい」や「シーソー」など、4人の合作も楽しいですよね。原画はどのように仕上げていったんですか?

戸田:これは、それぞれのしりとりを1点ずつ描いていただいて、デザイナーさんに合成してもらいました。


影までしっかり! 合成とは思えないライブ感!

───なるほど! 絵を見ると、まるでライブで描かれているような臨場感を感じました。

新井:ただ「しりとり」を並べるだけでは、すごく単調になったと思います。そこは、デザイナーさんの力をお借りして、キレイに揃えないで、楽しい動きのある画面にしてくださいとお願いしました。


のりたけ:絵が重なっていたり、ページからはみ出している部分にも勢いがありますよね。そこは本当にデザイナーさんのお力だと思います。


───細かいしりとりの部分があるかと思うと、1見開き、バーン!と描かれているページがあって、この緩急のバランスが、すごく面白いですよね。みなさん、それぞれお気に入りのイラストを教えてもらえますか?

新井:ぼくはずっと描きたいと思っていた「死神」が描けたのが嬉しかったですね。

のりたけ:この絵本に出てくる「トマト」は、ぼくのデビュー作の『ケチャップマン』のキャラクターなんですよ。それを久しぶりに描けたのが嬉しかった!

───よーく見ると、みなさんの絵本のキャラクターがちょこちょこ潜んでいて、ファンにはたまらないですよね。 こうたくさんは、どうですか?


こうたく:うーーーん…。「ワシ」…とか…。1つのイラストで2つの意味を持つような絵は得意でしたね。あと、ステーキをはじめて描きました。

のりたけ:こうたくくんの描くステーキが本当に美味しそうなんですよ! 

那生:そうそう。夜空に浮かんでいるから、「ステーキ座」っぽく見えるのが、また凝っているな〜って思って。ぼくは、「力士」。自分でも上手に描けたと思っていたら、みんながほめてくれて…(笑)、すごくお気に入りになりました。

───では、他の作家さんの絵で好きな物は?

新井:那生さんの「たきび」良いですよね〜。この1枚から物語が生まれそうで…。 

のりたけ:1個に絞るのは難しいですが…。こうたくくんの「ウミガメ」が好きですね。お腹の色に海を感じます。

こうたく:僕は新井さんの「こけし」が好きなんですよね。あと、那生さんの絵はどれも外し方がうまいな〜〜〜って。

那生:前見返しのルールのところ、すごい面倒くさかったんじゃないかなって。新井さん以外だったら、すごくクドいイラストになったんじゃないかなと思うと、新井さんでよかった!って(笑)。

───うちの息子はしりとりでいつも「う」が来ると、「う〜!(鵜)」と叫ぶので、こうたくさんの「う」にはかなりシンパシーを感じました。

───あと、のりたけさんの見開きの絵がないのが気になったのですが…。

のりたけ:これは、ぼくがお話ししなければならないですよね。後半の背景のある絵がありますよね。これを全部、ぼくが描いています!

───え、全部!?

新井:これには深〜いわけがありまして…。デザイナーの祖父江慎さんが、ぼくたち4人のタッチを見たときに、背景担当にのりたけさんを指名したんですよ。


戸田:『おえかきしりとり』のラストで、おはなしの中の生き物と現実がゴッチャになる部分があるのですが…そこは、のりたけさんのリアルなタッチが映えるとおっしゃったんですよね。


のりたけ:でも、背景4枚と、見開き1枚が同じなんて…どういう扱いなんだ!って思いますよね(一同笑)。 しかも、絵本の中ではみんなの絵が上に載っているけれど、この見えない部分もしっかり背景を描きこんでいますからね!

こうたく:のりたけさんは『しごとば』の細かーい絵を描いた後に『おえかきしりとり』の背景を描いたんですよ! しかも締め切りをちゃんと守っている! 人間技じゃないです!

───では、背景は特に見てほしいページですね(笑)! ラストに向かう展開が、「しりとり」の特徴を上手くとらえていると感じたのですが、どうやって終わらせるか苦労されたんじゃないでしょうか?

新井:最後のまとめ方はかなり悩みましたよね…。


のりたけ:「しりとり」だから「ん」で終わらせようという展開は最初の段階から決まっていました。でも、どうやって「ん」を出すかは、4人でやり取りをしている中で生まれたんです。

こうたく:「りゅう」から「ずぼん」ですからね。でも、「ずぼん」で最後をしめられるのは那生さんだけだと思います。他の「ん」で終わっていたらどうなっていたか…。

新井:「ずぼん」で締める発想には、ぼくたちみんなが驚きましたから。相当のはなれ業です…。

那生:ぼくは、最後の「完」が良かったと思いますよ。びしっと締まりますよね。「完」にも「ん」がついていますし。

───しりとりは「ん」をいわない遊びなのに、途中から「ん」を探すという終り方が絵本としてもかなり画期的だと感じました。

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新井 洋行(あらいひろゆき)

  • 本、玩具作家、デザイナーとして、テレビの番組デザイン、玩具の企画デザイン、Tシャツや雑貨のデザイン、CDジャケットのデザイン等のほか小説などのイラストも手がけている。
    絵本作品に『おおごえずかん』、『カラフルアニマル』(コクヨS&T)、『四字熟語ワンダーランド』、『ソケットとおとのまほう』、『クリップとみずのまほう』(フレーベル館)、『しゅっしゅぽっぽ』(教育画劇)、「あけて・あけてえほん」シリーズ『れいぞうこ』、『おしいれ』(偕成社)他多数。

鈴木 のりたけ(すずきのりたけ)

  • 1975年、静岡県浜松市生まれ。会社員、グラフィックデザイナーを経て、絵本作家に。『ぼくのトイレ』(PHP研究所)で第17回日本絵本賞読者賞、『しごとば 東京スカイツリー』(ブロンズ新社)で第62回小学館児童出版文化賞を受賞。
    主な作品に、「しごとば」シリーズ(ブロンズ新社)、『かわ』(幻冬舎)、『おしりをしりたい』(小学館)、『そだてば』(朝日新聞出版)などがある。

高畠 那生(たかばたけなお)

  • 1978年岐阜県生まれ。絵本作家。主な作品に『ぼく・わたし』『チーター大セール』(ともに絵本館)『いぬのムーバウいいねいいね』(講談社)『おまかせツアー』(理論社)『ぞうの金メダル』(作・斉藤/岩崎書店)『飛んでった家』(作・クロードロワ/訳・石津ちひろ/長崎出版)がある。

よしながこうたく

  • 1979年、福岡県生まれ。九州産業大学デザイン科卒業。
    18歳から作家活動をはじめ、イラストレーターとして国内外のさまざまな媒体の仕事を手がける。はじめての絵本『給食番長』が人気となり、シリーズ化。続刊に『飼育係長』『あいさつ団長』『おそうじ隊長』『サムソン先生のダジャレ英語学習帳』『ちこく姫』(いずれも長崎出版)がある。他の作品に、『おふろだいすき!ぷっぺ』(小学館)、『かみなり』(文・内田麟太郎/ポプラ社)、『ばあちゃんのおなか』(文・かさいまり/教育画劇)、『鬼のかいぎ』(文・立松和平/新樹社)、「ようかいガマとの」シリーズ(あかね書房)、『ぼくの兄ちゃん』(PHP研究所)、『でんせつの きょだいあんまんを はこべ』『ゆけ!ウチロボ!』(ともに作・サトシン/講談社)など。

作品紹介

おえかきしりとり
おえかきしりとりの試し読みができます!
作:新井 洋行 鈴木 のりたけ 高畠 那生 よしなが こうたく
出版社:講談社
全ページためしよみ
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