今から遡ること40年。フリーデザイナーとして様々なデザインを手がけていた戸田幸四郎(1931-2011)が、『あいうえおえほん』という一冊の絵本を作ったことから始まった戸田デザイン研究室。
以来、“デザインの美しさ・楽しさで子どもたちの感性・好奇心を育む”という考えを大切に、妥協のないモノ作りを続けてきました。
『国旗のえほん』『地図絵本シリーズ』や『リングカード・シリーズ』をはじめたくさんのロングセラー作品に恵まれ、近年では職人さんと一緒に作った木の玩具やプロダクトデザイナーと作ったカードゲームなど幅広いモノ作りを展開しています。
長い間、会社の歩みや考えについて語ったことはほとんどありませんでしたが、父である戸田幸四郎亡きあと、代表を務める戸田靖が様々なエピソードを交え、戸田デザインの「これまでとこれから」について語ったインタビューを全4回に分けてお届けします。
最終回「その4」では、戸田靖が目指す、戸田デザイン研究室のこれからが語られます。
ぜひご一読ください。
※2018年12月のインタビューです。 (聞き手:広報 大澤千早)
ーー 幸四郎さんが亡くなって、これから戸田デザイン研究室をどうしていこう、と迷われたり はしなかったんですか?
戸田 : 迷いはなかったかな。これからは自分ですべて決めていかないと、と言う覚悟はしたけどね。
ーー 戸田さんは幸四郎さんと仕事をされている時から、絵は描かれていませんね。ご自分で絵を描こうとは思わなかったんですか?
戸田 : 実は幸四郎と仕事をしている時から、その話は何度か出たんです。この先の事を考えて、私も幸四郎と同じタッチで絵を描けるようにするかと。
ーー そうだったんですか!でも戸田さんは、描かなかった。
戸田 : うん。幸四郎と同じようなものを作って同じような方法でやっていくより、今と違う方法を考える方が性に合うな、って思ったんです。