よるよ
- 作:
- コジヤジコ
- 絵:
- 中山 信一
- 出版社:
- 偕成社
出版社エディターズブログ
2023.08.31
『よるよ』(中山信一 絵)は、Twitter(@cozyar_kaibun)などで日々自作の回文を発表している回文家、コジヤジコさんが手がけた、全文が回文でできた絵本。回文は言葉遊びの一種で、前から読んでも後ろから読んでも同じ意味になる文章のことです。回文からひろがるふしぎな夜のできごとを、何層にも重なり合うクレヨンが、色鮮やかに描きだします。
出版社からの内容紹介
とある夜。海にうかぶ島に、3匹の動物がいました。いぬと、くまと、ねこです。
海に星がひとつ、落ちました。すると、星の光は海からむくむくと顔をだし、かがやく夜の虹になって、空へとのびていくではありませんか!
動物たちは、のびる虹に連れられて、夜空のうえで出会いました。
「どもどもど」「やあやあや」「わんわんわ」
夜の虹の世界は、摩訶不思議。虹のうえでトランポリンみたいに跳ねたり、虹のなかでプールみたいに泳いだりと、3匹はへんてこな冒険を楽しみます。そのうちに、虹にあいた大きな穴を見つけて……?
「さかさことば(回文)」からひろがるふしぎな夜のできごとを、何層にも重なり合うクレヨンが、色鮮やかに描きだします。
夜の静けさのなかにナンセンスなユーモアがあふれる、ことば遊び絵本です。
【編集者より】::::::::::::::::::::::::::::::::
さかさことば(回文)を知っていますか?
「しんぶんし」や「たけやぶやけた」のように、左から読んでも右から読んでも、
おなじ読み方になることばのことです。
この絵本は、そんなおもしろいことばだけでできています。
くりかえす日本語の音の、ふしぎな響きを楽しんでもらえたらうれしいです。
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『よるよ』はもともと、ぼくがツイッターにあげていた作品が原作になっています。コロナ禍でよく家の周りを散歩していて、夜の町の写真を撮ったりしながら「夜」をテーマにした回文絵本を作りたいと思い、作りはじめたのです。ですので、その当時はファンタジーでありつつも、日常感のある背景のなかで展開する物語でした。
いよいよこれを本当に出版できる絵本にしようとなったところで、『よるよ』はイラストレーターの中山信一さんの手に委ねられたのですが……、中山さんは物語の解釈をダイナミックに変えてきたのです。日常は冒険に変わり、どうぶつたちは虹の世界へ飛び立つことになりました。戻ってきたイラストを見て、わお! さいこー! と思いました。
そこから中山さんと偕成社の編集さん、そしてぼくの新たなやりとりがはじまりました。だったらここは新しい回文が必要なんじゃないか、ここは絵だけでいいかもしれない、思い切って擬音も回文にしてみては? そんなこんなで絵本『よるよ』は生まれたのです。
あらためて、これも回文の可能性だなぁと思います。文章としてはちょっと舌足らずでへんてこだから、読む人はいくらでも想像を広げられる。だからどこへでも羽ばたいていけるんです。ぼくと中山さんの想像力が混じり合って『よるよ』の世界はぐんぐん広がっていきました。
むかしから、ちょっと変わったものが好きでした。子どものころって、そのときどきで変なものが流行ったりしますよね。ちょっとしたなぞなぞだったり、くだらない言葉遊びだったり、手品だったり、手遊びだったり。そういうのが好きでした。勉強したことはあまり覚えていませんが、くだらないことならかなり憶えています(笑)
大人になって、言葉で表現することに興味を持ちました。コピーライターに憧れて、養成講座にしばらく通っていたこともあります。そんなぼくの好みが交わる交差点みたいなところで回文に出会ったのでした。2010年ごろだったかと思います。インターネットでいくつかの回文に出会って、これはなんだかおもしろそうだぞと思い、作りはじめたのです。