世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
絵本紹介
2025.03.31
さるくんは、毎日どこかをケガしてはりねずみ先生のところにやってきます。そのわけは……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、『はりねずみのおいしゃさん さるくんはヒーロー』。ふくざわゆみこさんが描く「はりねずみのおいしゃさん」シリーズ第三弾、いったいどんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
森の病院のはりねずみ先生のもとには、いろいろな患者さんがやってきます。最近、毎日のようにどこかをケガしてはやって来るさるくん。いったいどうして、こんなにケガをしてしまうのでしょうか?
ある時は木から飛び降りておしりをうってしまったり、ある時は石を足に落としてしまったり。はりねずみ先生が手当てをしながら話を聞いてみると、さるくんは一冊の本を取り出します。
「あのね、 せんせい…」
主人公は空を飛べて、力持ちで、すばやくて、みんなが困っていると助けてくれるかっこいいヒーロー。さるくんはヒーローに憧れて、ひとり特訓を重ねていたのです。でも、どうがんばっても空を飛ぶことはできないし、重いものを持つこともすばやく走ることも得意ではありません。さるくんは、だんだんと自信をなくしていきます。
そんなある日、大きな木の下に森のみんなが集まっています。どうやら高い木の枝の先でこねこが降りられなくなってしまったようです。さるくんは……。
丁寧にあたたかく描かれる絵が人気の絵本作家ふくざわゆみこさんの作品の中でも、そのキャラクターの包容力と愛らしさが際立っている「はりねずみのおいしゃさん」シリーズの第三弾。
「ぼく、こんなふうに なりたい。」
誰かを助けたい、かっこいいヒーローになりたいと奮闘するさるくん。失敗したり、心配をかけたりもするけれど、その純粋でまっすぐな気持ちを誰も否定したり笑ったりしません。さるくんが自分で得意なことや役に立てることを見つけていく様子を見ながら、子どもたちもきっと嬉しい気持ちになっていくのでしょうね。
ヒーローの形はひとつじゃない
憧れのヒーロー像があるって素敵なことです。目を輝かせながら夢を語るさるくんの表情を見ていれば、応援せずにはいられません。でもヒーローの形は、ひとつではありませんよね。大事なのは「誰かの力になりたい」という確固たる信念。あんなに自信をなくしていたさるくんが、目の前で震えるはりねずみ先生のために機転をきかせて動きまわる姿はまさに「ヒーロー」! かっこいいのです。みんなに心配されたっていい。自分のペースで夢を実現していってね、さるくん。
この書籍を作った人
東京生まれ。絵本作家、漫画家。絵本に、「おおきなクマさんとちいさなヤマネくん」シリーズをはじめ、『ミミちゃんのぬいぐるみ』(以上福音館書店)、『おひるねネコさん』(佼成出版社)、『ぎょうれつのできるパンやさん』『むしのかくれんぼ いないよいないよいませんよ』(以上教育画劇)、『イノザブロウとあたらしいおともだち』(PHP研究所)、『のねずみチッチ』(のら書店)などがある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。