───脚注の「体験につなげるヒント」など、親御さんがお子さんと図鑑を読むときの声かけを後押しするアドバイスも多いですよね。編集される上でどんな思いが込められているのでしょうか?
「プレNEO」シリーズ共通のポリシーとして、「体験すること」「考えること」につながるような図鑑づくりを創刊当初から目指しています。本で読んだ知識も大切ですが、やはり実際に体験しないと身につかないと思うんです。その最初のきっかけとして親御さんと一緒に図鑑を見て、感想を言いあって、体験を促してあげられるように脚注の「体験につなげるヒント」や「やってみよう」のページにも力を入れています。

───「すしを にぎってみよう(p86-87)」や「はにわを つくろう(p42-43)」など、一見「本当にできるの?」とビックリするような体験も写真で手順が書かれているので、親子でワイワイ楽しみながらチャレンジできそうです。
「はにわを つくろう」は私たちもかなり盛り上がったページなんです。本物の埴輪も同じような手順で作っていたそうなんですよ。
───実際に取材に出かけて作ったページも多いと思います。特に思い出に残っている取材などはありますか?

監修をお願いした藤森先生は小学校の校長先生であり、大学の教育学部でも教鞭をとっている、学校教育に精通している方です。
───おり紙の工場、この図鑑で初めて見ました! どうやって作られるのか、写真で大きく紹介されていて、分かりやすいですよね。
おり紙がどうやって作られているかまったく知らなかったので、おり紙用の特殊なインクが使われていることや、真四角にするために職人の技が必要なことを知ったのはとても新鮮でした。
───あと、衝撃だったのは、「にっぽんいち ちいさい すし(p132-133)」!

「一粒寿司」ですね。外国の方に人気のメニューなんだそうです。撮影では、本物そっくりに並べようとスタッフ一同意気込んでいました(笑)。ネタは本物と同じものから切り出すんです。海苔も包丁で一粒サイズに切って使っていて、まさに職人技と思いました。
───寿司やおり紙のページを見て、「日本は匠の国なんだ」と改めて感じました。
そうなんです。『にっぽんの図鑑』を通して、子どもたちに職人の物づくりの技術に誇りに思ってほしいです。もうひとつ、直接図鑑の内容には関わりませんが、どうしても伝えたかったのが、『にっぽんの図鑑』で使われている紙に込められた匠の技なんです。

───日本製紙石巻工場の話は、メディアでも取り上げられていますが、それが実際に図鑑になって手にとることができるのは感慨深いです。
普段はあまり製作現場のことを表に出すことはしないのですが、どうしてもこの図鑑が匠の結晶そのものであることを知ってほしくて、敬意を示す意味も込めて掲載しました。
───そして、『にっぽんの図鑑』の最後に「にっぽんは「わ」の くに(p186-187)」という特集が組まれているのが、とても印象的で・・・母親としてハッとさせられる内容でした。
このページを作っているとき、「憲法改正問題」が取りざたされているときでした。

───「和の国」日本と平和の「和」がつながっているというのが、とても感動しました。今の時代、親としてはこの先の日本への不安ばかりが先走りがちですが、『にっぽんの図鑑』を通して、日本の良さを感じることができました。最後に絵本ナビユーザーの皆さんにメッセージをお願いします。
実は、「プレNEO」シリーズを絵本のように読み聞かせる方が意外といらっしゃるんです。テーマが見開きで完結しているので、寝る前に好きなページを開いて読むのがちょうどいいと感想をいただいています。

───そうなんですね! 図鑑の読み聞かせ、新発見です。
お母さん方の本音を考えると図鑑はひとりで読んでくれた方が嬉しいと思うのですが、最初の一歩は、お子さんと一緒に観ていただけたら嬉しいです。
───もちろん、今までの「プレNEO」シリーズ同様、受験問題や教科書に対応した内容も充実しているので、教材としても長く使えそうですね。

───ありがとうございました。 『にっぽんの図鑑』を手に、子ども達と今一度日本の素晴らしさについて、考えてみたいと思います。




