●講演会に参加された皆さんの質問に答えていただきました。
——絵本を作るとき、早川さんはどのように作っているのですか?
早川:A4サイズくらいの紙に小さい枡目を描いて、その中でストーリーを考えるときもありますし、本の形に紙を切って、ページをめくるようにしながらおはなしを作るときもあります。
——原画を描きはじめてから、完成までは早いですか?
早川:遅いです。じっくり考えてから描くタイプだと思います。ただ、絵本の制作は締切があるものなので、ある程度スケジュールを決めながら描いていきます。
——自分の作品のなかで一番好きなのは何ですか?
早川:うーん。常にいい作品が作りたいなと思って作っている感じです。
——作品作りで一番大切にしていることは何ですか?
早川:今、締切が重なることが多くて、以前のようにじっくり考えて描く時間が持てていないなと感じることがあります。でも、じっくりかけたからといって、良い作品が描けるとも限りません。一冊一冊、納得のいく形で作品作りをしていきたいというのが、今後大切にしていきたいことですね。
——好きな版画家さんや目指す作家さんはいますか?
子どもの頃に出会った絵本の影響は、知らず知らずのうちに受けていると思います。それと最近は同年代の作家さんの作品も余裕をもって見ることができるようになりました。「みんなこうやって作品を作っているのか……」と参考にする部分は大きいですね。
——好きなこと、趣味はなんですか?
あまり趣味はないんです。最近は、甥っ子、姪っ子と遊ぶのが楽しくて、そっちにかまけてしまい、製作が滞ってしまっていて、まずいなと思っています。
——ご自身の中で好きな動物は?
早川:描く題材としてよく登場するのがシカとか牛、ウサギですね。角や耳の形が絵の構図を考えるとき、とてもバランスがとりやすいんです。それで絵本を描く前からモチーフに使うようになりました。ウサギは、ウサギ年のときに年賀状のモチーフで描いたら、とても擬人化しやすくて、それから12年経ってもまだウサギを描き続けています。本当はもっと新しい動物も描いていきたいと思っているのですが、なかなかチャレンジすることができずにいます。
——絵本を作るときに、画材に木版を使うか、絵の具で描くかどうやって決めているのですか?
早川:ラフを見せるまでは自分の中でもどちらで描こうかあまり決めていないんです。版画で行くか、絵の具で行くかの判断は、編集者さんから最初に指定していただくことが多いですね。私自身は版画と絵の具半々でやっていけたらいいなと思っています。
最後に記念撮影を行いました。
●絵本セラピストの皆さんに感想を伺いました。
●作品を拝見していたときは、年配の方かと思っていたのですが、実際にお会いして、とてもお若い方でビックリしました。
●『はやくちこぶた』の制作秘話を伺うことができて、とても楽しかったです。早川さんと井上さんのやり取りもとても面白く、すごく良い関係性で作品を作られているんだと感じました。
●普段、大人の方に絵本を読ませていただいているのですが、作家さんのおはなしを直接伺うと、絵本への愛がより一層高まります。今回、伺ったおはなしをお伝えして『はやくちこぶた』に興味を持っていただけたら嬉しいと思います。
●作家さんの直接お話を聞くのがはじめての機会だったので、どんなお話を聞けるかというのでワクワクとしていました。おはなしを生み出すきっかけなど伺うことができて、作品がより身近に感じらて、嬉しかったです。
●私たちの質問に対して、言葉を丁寧に選んで発言されている様子が印象的でした。質問に対する回答もとても絵画的で、とても芸術家肌の作家さんなのだと感じました。
●お話を伺う前は、「作家先生」と緊張していたのですが、とても自然体で身近に感じることができました。
●絵本セラピスト協会代表 岡田達信さん
ご自分の中の感覚を大事にされて、お話をされている姿がとても印象的でした。早川さんの作品の中には『不眠症』のように、とても繊細な感覚で描かれている作品があるので、お会いする前は神経質な方なのかもと思っていました。でも、実際お会いしてみるととても自然体な方でビックリしました。姪っ子さん、甥っ子さんと接する中で、ご自身の絵本の意味を解釈しなおそうと思われている姿、今後、早川さんが生み出す作品が、ますます楽しみになりました。
(取材協力)
絵本セラピスト協会
