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世界の国からいただきます!(徳間書店)

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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  必見!『小学校最初の3年間で本当にさせたい「勉強」』作文教室「言葉の森」代表  中根克明さんインタビュー

息子2人とたっぷり遊んだ子育て時代

───中根克明さんご自身は、なぜこのように考えることになったのですか。実際ご自身はどんなふうに子育てされていたのでしょうか。

自分自身が学校をあまり好きじゃなかったし、子どもが生まれたときに、うちでおしゃべりしたり遊んだりする時間がたくさんあったほうがいいなと思いました。机に座っているより、子どもは自由に自分の好きなことをするのがいちばんいいだろうなと。
ただ読書は大事だから、本は必ず読むというふうにして、あとはもう遊び放題。近くに公園があったので、犬を飼い、猫も拾ってきたり鳥も飼ったり、もう動物園みたい(笑)。

ちょうどゲームが流行って、最初はゲームはよくないなと思ったけど子どもたちがあまりに熱中しているから、免疫をつけるためにも、禁止せずやらせたほうがいいなと思って、妻は反対したんですけど、そっとゲーム機を買って、ファイナルファンタジーとゼルダの伝説を買って……。家族全員熱中しました(笑)。
自分が山登りや海に潜るのが好きでしたから、近所の山に行ったり、海に行ったりというのでずっと遊んでいたんですね。そういうふうに、息子2人と遊んだり、本を読んだりゲームをしたりという子育てでした。

───お子さんたちに読み聞かせはされましたか?

自分は読み聞かせより、自由に物語をつくってアドリブを入れておはなしをするほうが好きでした。妻はせがまれて同じ本を何度も何度も読み聞かせしていましたけどね。大きくなってから、長男が「あの絵本はよかった」と言っていたのは『八郎』です。精神的に強い印象を残したようです。妻はシュタイナー(*)の考え方に共感するものがあって、いろんな絵本を注意深く選んで読んでいたみたいです。
少し大きくなると、私は中村うさぎさんの『極道クン漫遊記』(*)とか清水義範さんの『永遠のジャック&ベティ』とか、大人が読むような笑っちゃう本を息子たちにおもしろがって読んで聞かせたりしていました(笑)。

*ルドルフ・シュタイナー……20世紀初頭の思想家、哲学者、教育者。人智学(アントロポゾフィー)を提唱し、ヨーロッパの思想家に影響を与えた。
*『極道クン漫遊記』……人気エッセイスト中村うさぎさんのデビュー作。小説で、のちにアニメ化などもされた人気作。

───それは楽しかったでしょうね(笑)。
息子さんたちは、一人で読むようになってからは、どんな本を読んでいましたか?

「かいけつゾロリ」シリーズは長男次男、2人とも好きでしたね。あとは岡田淳さんの「こそあどの森の物語」シリーズとか……。5、6年生の頃はミヒャル・エンデの『モモ』『はてしない物語』に夢中になっていました。

───読書をしていた効果は感じましたか?

長男はダントツに国語が得意で、算数はダメでした(笑)。小4くらいのときに算数でひどい点数をとってきたことがあって、苦手意識があったようです。
でも中学3年生になって受験があるから、よしちょっと集中して数学をやろうということになって、1日に4、5時間、一カ月間集中してやったら、あっという間にできるようになったんですよ。結局、中3くらいから自分で本格的に勉強するようになって、私大の難関校に入りました。

一方次男は学校の先生と相性が悪く、高学年のとき、特定の友だちがわるく言われることに傷ついてしまって、学校に行きたくないと言い出しました。
家にいてもいいと私は思ったのですが、妻の提案で、北海道に山村留学しました。自然に囲まれたところで、海にもぐってウニをとって焼いて食べたりと、そりゃあ楽しい半年だったみたいです。
その後家に戻ってきて、中学でバスケットボールに熱中し、全中(全国中学校バスケットボール大会)に出場するほどになりました。スポーツ推薦と作文の選考で進学しました。

───勉強もスポーツも、中学生以降で十分充実させられたのですね。

高校や大学では、勉強したくなるし、したほうがいいと思います。今は「勉強」って聞くだけで「えーっ」「いやだ」と子どもがアレルギー起こしちゃう。それはまずいですよね。後伸びする子を育てるためには、小学校低学年で無理させないことです。

───本書で興味深かったのは、4章の「遊びをとことん充実させる」です。親子でできる実験的な遊びからプログラミングまで色々な遊びが書いてあって、やってみようと思いました。

今、子どもとどうやって遊んでいいかわからない親御さんがいるみたいですが、とにかく親が好奇心を失わず、童心にかえって一緒に遊ぶことですね。


「実験的な遊び」を取り入れてみる

幼児期に読み聞かせをしたのと同じ熱心さで、家庭学習の充実を!

───発売してすぐ重版され、「先生にぜひお会いしたいです」という読者カードも届いているとか(笑)。
絵本ナビを日頃利用しているお母さんお父さん方にメッセージがありましたら、お聞かせください。

幼児期に絵本を読み聞かせしている、すごくいいお父さんお母さんが、絵本時代だけがんばって終わっちゃうということがけっこうあるんですね。小学校1、2、3年生くらいまではいっしょうけんめい子どもを見ているのに、5年生くらいになって勉強が難しくなってくると塾に通わせちゃう……。または中学生の勉強はもう自分は見てあげられないと、すぐあきらめてしまうとか。

ぜひ言いたいのは、幼児期・小学校低学年のときにいいことをしたから、あとは自動的にうまくいくわけじゃなくて、やっぱり小学校1・2・3年生で親子の関わりを育てたのと同じように小学校高学年でも新たに関わる必要があるし、中学生でも新たに関わる必要があるということなんです。
とくに中学生になったら塾へ行って、親は子どもの勉強から離れちゃう家庭がすごく多い。それぞれの年齢に応じた、親子の関わりを、ぜひ継続してほしいと思います。

───関わるって、どういうふうに関わればいいんでしょうか。

親が子どもの勉強内容を把握していて、必要に応じてアドバイスするということです。
それは継続してやっていればたいして難しくないんだけど、ちょっと期間を空けると、親のほうももうわからなくなっちゃう。だから塾に通わせてもいいですけども、親ががんばって学習内容を把握して、いつも親身に気にかけていることが大事です。絵本時代の親御さんの関わりを、学年があがっても別のかたちで続けていくよう、ぜひ伝えておいてください。

───中学の勉強を見てあげてアドバイスすること、できるでしょうか?

今やればできますよ。一度、義務教育でやっているはずの内容ですからね、子どものときわからなくても、大人になって解法を参考にすれば、けっこうわかるものですよ。

中3の子どもが塾に行きたいと言うんですがどうしましょうと相談を受けて、「お母さんが教えたらいですよ」とアドバイスしたことがあります。お母さんは戸惑っていましたけど、結局お母さんが教えて、その子は学区の公立高校のトップ校に入りました。
塾って、集団授業だから学校と別に変わらないですし、友達に会いにいくとか行き帰りが楽しいという面が大きくて、学習の能率がいいわけではないですよね。

塾に行ってもいいけれども、家庭での関わりをなくさないように。そのためには、小学校1、2、3年生のときにぜったいに無理をしないっていうことが大事です。1、2、3年生のときは子どもが言う事をよくきくから、親がやりすぎちゃうんですよね。そうすると反抗期になったときにうまくいきませんから(笑)。

───なるほど……(苦笑)。

本書でもお伝えしていますが、子育ての目的は幸福な子ども時代を与えることだと、私自身は思っています。そしてこれからは遊びの中で育てた個性で人生を切り開いていく時代です。
遊びと読書をたっぷりして余力を蓄え、親が子どもにちゃんと関わること。そうすれば、高校、大学と、本当に勉強が必要になるときに自ら勉強するようになります。 本書をぜひ読んで具体的な方法を参考にしてください。

───ありがとうございました。

インタビュー・文: 大和田佳世(絵本ナビ ライター)
撮影: 所靖子

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中根克明(なかね・かつあき)

  • 1952年生まれ。千葉大学卒。25歳のとき、マスコミ志望の大学生を対象にした作文教室を開く。1981年、作文教室の草分け的存在である「言葉の森」を横浜で開講。通信教育を始める。
    小学生から大学受験生まで、1万2000人が学んだ。卒業生には東大・京大・早稲田大・慶應大など難関大、難関中・高に進んだ生徒多数。教育熱心な親の間で注目を集めている。
    毎月の作文の添削だけでなく、国語力の土台である読書推進にも力を入れる。生徒への面倒見のよさには定評があり、ネット上で毎日の家庭学習を講師にみてもらえる「寺子屋オンエア」も開催する。
    『小学校最初の3年間で本当にさせたい「勉強」』は、長年教育の現場でたくさんの親子を見てきた著者が、本当に大切な「勉強」とは何かを余すところなく語った書。
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