●目指せ、シリーズ10冊! を目標にしています。
───みなさんは普段、広告業界で活躍されていますが、絵本というジャンルをどのように感じていらっしゃいますか?
ふくべ:絵本はとても面白くて、興味深いジャンルですね。
───どんな所が、面白いと感じますか?
ふくべ:広告目線で見ると、すごくブレーキが少ない。ある意味何でもオーケーという感じがします。
おおの:広告業界って、すごく規制が厳しいというか、クライアントありきの仕事なので、世の中の反応や、コンプライアンスをすごく気にするんです。
ふくべ:なので、広告業界視点で考えると今回の『いちにちじごく』は、かなり強い批判を受けるのではないかとドキドキしている作品でもあります。でも、こういう作品も受け入れてもらえる、懐の深さが絵本にはあって、そういうところがとても面白いですね。
かわしま:この「いちにち」シリーズも、『いちにちじごく』のような子どもが泣きそうな怖い作品もあれば、『いちにちおもちゃ』のような、ゲラゲラ笑える作品もあって、『いちにちどうぶつ』のように、ちょっとした豆知識が身につくものもある。すごくふり幅が大きいと思うんですよ。だから、次はもしかしたら、もっと笑えるテーマになるかもしれないし、もしかしたら、泣ける絵本になるかもしれない……。
おおの:ぼくらと一緒に考えてくれる編集者さんが安定することを嫌っているんです。今回の地獄もぼくたちは二の足を踏んでいたんですが、編集者さんが「地獄にしましょう!」って言ってくれて、実現しました。だから、きっと次回作もみなさんがアッと驚く「いちにち●●」になっていると思いますよ。
───次回の構想はもう出ているのですか?
ふくべ:以前の企画のときに、出ているものなど候補はいくつかストックされているのですが、『いちにちじごく』が出版されたばかりなので、とりあえず、半年ぐらいはじっくり考えたいと思います。
───なるほど。ちなみに、どんな「いちにち●●」を今後作ってみたいですか?
かわしま:「いちにち萌えキャラ」とか「いちにちイケメン」とか面白そうですよね。
おおの:「いちにちイケメン」って、いろんなジャンルのイケメンが出てくるの? 「イケメンになりたいなー」「イケメンになったら、ぼくも人生かわるかな」って?(笑)
ふくべ:ページを閉じた後、とっても虚しい気持ちになりそうだね……。
───『いちにちじごく』とは違った意味で、地獄ですね(苦笑)。おおのさんは、どんな「いちにち●●」を作りたいですか?
おおの:やりたいものは8冊までで結構やってきているんですよね。だから、『いちにちじごく』みたいに、読者の意表をつくようなものを考えたいですね。もしくは、『いちにちのりもの』みたいに、擬人化して面白くなるものとか。
ふくべ:ぼくはいつも、「いちにちおこめ」を提案するんですけどね。ぜんぜん、候補にあがらないんです。でも、10冊は目指したいねって、いつも話しているんですよ。
───年1冊ペースで刊行されているから、10周年が記念すべき10冊になるんですね。どんな「いちにち●●」が生まれるのか、とても楽しみです。それでは、最後に絵本ナビユーザーへメッセージをいただけますか?
ふくべ:『いちにちじごく』は、絵本を読まなくても、家にポンと置いてあるだけで、お子さんへの効果は絶大です。実際、うちの子どもはこの絵本を見ることができないくらい、怖がっています。そういう意味ではシリーズ一の問題作だと思うのですが、世の中には、絶対にやってはいけないことを、きちんと伝える必要があると思います。いくら親が言っても聞かないなら、その役割を絵本に任せてみるのも、ぼくはありなんじゃないかと思っています。ぜひ、一家に一冊、お買い求めください。
おおの:「いちにち」シリーズは、子どもの想像力を膨らませるのに、ピッタリだと、ぼくは思っているんです。実際に、シリーズを楽しんでくれた子どもが、オリジナルの「いちにち●●」を描いてくれたこともあります。なので、絵本を読んだ後に、「こういう「いちにち●●」があったら面白いよね」と家族で話してもらえたら、面白いと思います。もしこれはというものができたら、ぼくたちに送ってください。もしかしたら採用になるかもしれません(笑)。
───かわしまさんもお願いします。
かわしま:『いちにちじごく』は、ぜひ初版をお求めください。「閻魔帳」が初版にしか入っていないので。そして、絵本のページからパラッと「閻魔帳」が落ちてきたときの恐怖をお子さんと味わっていただきたいです。
───ありがとうございました。