絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  『GREETINGS(グリーティングス)あいさつのえほん』コローロさんインタビュー

絵本作りに、試行錯誤

───先ほどおっしゃった、最初のラフでストーリー性を意識して複雑になった、とは、どんな意味でしょうか。

カラシマ:たとえば最初のラフでは、コローロが道を歩いて、蜂さんと「こんにちは」。そしたら雨が降ってきたから、蜂さんは巣に戻るので「さようなら」。お父さんが傘を持ってむかえにきて「ありがとう」。家に帰ったらお母さんが待っていて「おかえりなさい」。 

場面と場面をつなげて、ストーリーとして読んでもらうのは、赤ちゃんにはちょっと難しいんじゃないかと。

フジイ:そういえば最初は「ごめんなさい」も入っていましたね。ガーデニング好きのお母さんの植木鉢を割っちゃって「ごめんなさい」・・・でもこれも赤ちゃんにうまく表現して伝えるのは難しくて、「やっぱり、これ、やめよう!」と。最後の最後で「ごめんなさい」は削ってしまいました。


ラフその1。パローロが傘を持っておむかえ。

ラフその2。「だいすきだよ」の絵柄に注目!


ラフその3。「だいすきだよ」こんな案もありました!「かわいいけどハートが刺さりそうでしょ(笑)」とカラシマさん。

ラフその4。この時点で最後から2つめの見開きは「ごめんなさい」でした。


太陽はどれがいいかなと4種類描いてみたそう。原画は、筆で、黒1色で手描き。スキャンしデータ上で彩色。

フジイ:『COLORS(カラーズ)』とは変化をつけるためにも、『GREETINGS(グリーティングス)あいさつのえほん』のゾウは白色にして、背景をカラフルにしようと決めていました。 

きれいな色を選びぬき、色数をしぼり、全体の統一感を出しておしゃれな雰囲気にしたかったんです。

───全体的なデザインで迷ったり、お二人の意見が食い違ったりしたところはありませんでしたか。

カラシマ:そうですねえ・・・。表紙の色を、最後の最後で変えました。でも意見はぴったり同じだったね(笑)。

一度は、表紙は黄色でいこうと決まったんです。男の子向けでも女の子向けでもない明るくていい色だし、出版社内でも評判がよかった。
でも私の中にこれで本当にいいのかなという気持ちが、どこかに残っていました。で、フジイさんと次の打ち合わせは翌週ね、と決まっていたんだけど、メールで「実は、ちょっと表紙の黄色が気になってるんだけど・・・」と色を変えたものを送ってみたんです。「私はこの色がいいと思う」と。そしたら・・・

フジイ:実は私も気になって「ブルーで一度作ってみない?」とカラシマさんに伝えようと思っていたんです。そしたらカラシマさんからブルーの表紙案がメールで送られてきました!


最初の頃のカバーラフ。文字部分もカラフルです。

───話し合っていないのに、ですか?

フジイ:ええ、そうです。 もうブルーを見たらお互い「これしかない!」。編集者に頼み込んで、もう一度社内で検討してもらいました。 OKが出るまで少し時間がかかりましたよね。

でも「絶対ここは推そうね!」と言って二人でプッシュしました。

(編集者):黄色の表紙案も、社内ではすごく好評だったんです。でもブルーがコローロさんの一押しだということで、やはりそれでいきましょうと!


フジイ:編集者の方にはとっても感謝しています。 黄色もかわいかったけど、ちょっと古い洋書みたいだったのよね。

カラシマ:もうブルーしか考えられなかった(笑)。 ベビーブルーより少し濃い、おしゃれな明るい青色に変えたことで、赤ちゃんの本でなおかつ「ちょっと洗練された素敵な感じ」を出すことができたんじゃないかなと思います。

 タイトル文字も明るい黄一色にしてシンプルにしました。

───はじめて『COLORS(カラーズ)』を見たときに、僕は、この絵本はお母さんたちがとっても気に入るだろうなと思いました。 お母さんが絵本を気に入って楽しんで読むと、その楽しい気持ちが赤ちゃんにも伝わりますよね。


カラシマ:そうなるといいなあと思っていました。インテリアや雑貨感覚で大人に好きになってもらえたら、それもうれしいなと。


 フジイ:うちには娘が三人いるんですが、親の「好きだな」と思うものは、はっきり言わなくても伝わっているなと思います。洋服でも本でも案外、感覚的な趣味は親と似ているかもしれない。

 カラシマ:うちは息子で、もう下の子も大学生だから服の好みで共通意識を感じることはないけど(笑)。

───角が丸く厚紙で作られたボードブックは安心感があって、赤ちゃん絵本としてはとてもニーズがありますよね。 赤ちゃん向けの絵柄が多いボードブックの中で、これは素敵だなとお母さんたちが手にとってみる。読んで聞かせると、なんだかわからないけど子どもが喜ぶということが起こるような気がします。

カラシマ:当初、『COLORS(カラーズ)』の読者は、生まれたばかりくらいから言葉を覚えはじめる1歳前後くらいまでかな、と何となく思っていたんですよ。

 実際、出来上がった『COLORS(カラーズ)』を見てきゃっきゃっと笑ってくれる8カ月の赤ちゃんの動画をいただいて、感動したりしてたんですが・・・。でも友人知人やフェイスブック(Facebook)経由で届く反応で「どハマりしました」「毎日こればっかり読んでー!と持ってきます」という2〜3歳くらいの子どものリアクションも意外とあることに驚きました。
 「ゾウちゃん、リンゴあむあむしてるね」「じゅーちゅ(ジュース)のんでるね」と小さい絵の中でお話を広げてくれる。これは赤ちゃんだけじゃなく、もう少し上の年齢までいけそうだぞとうれしい誤算でした。

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コローロ

  • フジイメグミとカラシマヨウコによる絵本制作ユニット。
    フジイメグミがイラストレーション、
    カラシマヨウコがグラフィックデザインを主に担当。
    発案・企画から制作まで、トータルに手掛ける。
    ふたりが日々の暮らしや子育てで感じたこと、
    仕事で見つけた伝える楽しみをぎゅっと凝縮。
    心に残る絵本として、カタチにしている。

作品紹介

GREETINGS(グリーティングス)あいさつのえほん
GREETINGS(グリーティングス)あいさつのえほんの試し読みができます!
制作:コローロ
出版社:赤ちゃんとママ社
COLORS(カラーズ)
COLORS(カラーズ)の試し読みができます!
制作:コローロ
出版社:赤ちゃんとママ社
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