●「だいすき」が一番!
───お二人それぞれ、一番好きなのはどのページですか?
フジイ:マローロの背景はピンクもかわいいと思ったけど、カラシマさんは「ぜったい赤!」って言ってたよね。たしかに赤とブルーのほうがシックな大人っぽさがあるかも。
───僕は断然、最後の「だいすき」が一押しです! 読み聞かせでも気持ちを込めて読んじゃうと思う。
カラシマ:「だいすき」って言葉はあいさつではないけれど、この本にはぜひ入れたかったんです。 子どもが大きくなると照れて言えなくなっちゃうから、小さい頃にいっぱい言ってあげてほしい。親子でぜひ言いあってほしい言葉です。大好きって伝えて抱きしめて、やり過ぎなんてことはないと思います。
フジイ:子どもが小さい頃、ぎゅーっと抱きしめない親はいないと思うんですよ。でも大きくなると抱きしめなくなるし、子どもも幼い頃抱きしめられたことは覚えていない。 でも、覚えていなくてもどこかに「ぬくもりの記憶」は残っているんじゃないかなと思う。 絵本でこのシーンが出てきたら、ぎゅーっと子どもを抱きしめて「だいすき」とハグしてほしいなあ。
───うちは娘が10歳くらいになったとき、もう大きいんだからそろそろ抱きしめたりするのはやめようかなと距離を置くようになったら、娘とうまくいかなくなった時期があったんですよ。そのとき妻と相談して、「もうやめて」と娘から拒否されるまで、親からはいくらでも抱きしめようと決めました。その後、また父娘関係がスムーズにいくようになったような気がします。 女の子は年頃になれば自然に父親なんていやがるだろうとどこかで覚悟していたんですけど、意外と「まだ大丈夫」ということがわかりました(笑)。
カラシマ:いいですねえ。私だって、もう大きくなった息子の後ろ姿を見て、今でも「ぎゅーっ」って抱きしめたい、後ろから羽交い締めにしたくなることありますよ・・・できないけど(笑)。
『GREETINGS(グリーティングス)あいさつのえほん』を読んでもらうことで、「だいすき」って抱きしめるきっかけになったらすごく幸せ。親子で笑顔になってほしいなと思います。みなさんの反応が楽しみです。
───そういえば「だいすき」のページだけ、コローロもマローロも白いゾウじゃないんですね。
カラシマ:はい。愛いっぱいで二人ともピンク色に染まっています(笑)。
───家族の愛情が伝わってくる『GREETINGS(グリーティングス)あいさつのえほん』。僕もみなさんに一押ししたいと思います。コローロシリーズ、これからも楽しみにしています! 今日はありがとうございました。
カラシマ:宮沢賢治の作品にエスペラント語が出てくると聞いて、私がいろんな単語を調べてみたのよね。「晴れ」「日曜日」とか「色」のエスペラント語をたっくさん書きだしてフジイさんに見せたの。
フジイ:陶芸教室、一緒に行ってるよね。ちょうど一年くらいになるかな。
インタビュー: 金柿秀幸 (絵本ナビ事務局長)
文・構成: 大和田佳世 (絵本ナビライター)