絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  「シュシュアミイ」シリーズなかむらあさみさん、やまもとまきさんインタビュー

「ケーキ屋さんや花屋さんに絵本があったらステキじゃないかと思ったんです」

───絵本ナビでも「ギフトにおすすめの絵本はありますか?」とユーザーさんから問い合わせをいただくことが多いのですが、この『あなたがいるから』と『うまれてきてくれてありがとう』はまさにピッタリ!と思いました。

暮松:ありがとうございます。「シュシュアミイ制作チーム」全員が絵本制作自体、初めての試みだったので、そういっていただけてとても嬉しいです。

───ヘッズさんは、ギフト用のラッピング商品を扱われている会社なんですよね。絵本を作ってみようと思ったきっかけなどを伺えますか?


暮松:それが、降ってわいたような話なんですが、ぼくは普段、営業で全国のケーキ屋さんや花屋さん、雑貨屋さんを回っています。ケーキ屋さんでケーキを買いに来る方達は、ケーキと一緒にろうそくやカードなどを買われていくことが多いんですよ。それを見たときに、普段言えないことを伝えられるメッセージ絵本があったら良いんじゃないか…と思ったことがきっかけです。

───誕生日や記念日の贈り物として、伝えたい思いを形にするギフトとしての絵本が浮かんだんですね。

暮松:はい。スイーツや雑貨やお花を売っているところに、絵本があったら素敵じゃないかと思ったんです。そこから社内でチームを作って、絵本制作プロジェクトをスタートさせました。

───そのとき、制作チームとして選ばれた中に中村さんと山本さんもいらっしゃったんですね。最初に絵本を作るという話を聞いたときはどう思いましたか?

山本:「絵本ですか?!」とビックリして聞き返しました(一同笑)。
ラッピング商品やメッセージカードなら分かるけれど、絵本はやったことがなかったので、「本当にできるのかな…」と不安が大きかったですね。

───絵本に登場するキャラクターを、グッズとして同時展開するイメージは最初からあったんですか?

中村:絵本とキャラクターグッズを同時に展開することは、かなり初期から決まっていました。

山本:「思いを伝える」というテーマがすでに固まっていたので、まずは絵本の対象となる年齢層をイメージして、キャラクターを考えることからはじめました。

───その中で生まれたのが「シュシュエル」と「シュシュフル」ですね。キャラクターのイメージはどのように決まっていったのですか?

山本:絵本は子どもから大人まで楽しめるものなので、小さい子からOLさんまで「かわいい」と思ってもらえるキャラクターであること。ケーキ屋さんや花屋さんに置いてもらうので、お店のイメージの邪魔をしない、柔らかいパステル調の色を使うことが決まって、さらに、手に取ってもらいやすいコロッとしたモコモコのフォルムや、男の子と女の子のキャラクターにすることなどが固まっていきました。

中村:キャラクターに男の子と女の子を作ることは、男女どちらのお客様にも手に取ってもらうことができて、プレゼントしやすくなるので、大切なポイントでした。

───実際に「シュシュアミイ」シリーズのグッズを手に取ってみると、どれもずっと触っていたくなるようなさわり心地で、デザインもかわいく、さらに使いやすい!と良いところがそろっていますよね。生地の柄や色にもこだわりがあるのでしょうか?

山本:最初は服の部分も顔と同じモコモコした生地で作る予定だったのですが、服はちょっと大人の雰囲気を入れた、渋めのパステル生地にしました。それと、ドットとストライプの柄は手描きのあたたかい雰囲気が出るようなデザインにしました。

「絵本作りはひとつひとつ相談しながら、試行錯誤の連続でした」

───シュシュエルとシュシュフルのデザインが決まって、その後はどういった流れで絵本の制作に入っていったのでしょうか?

暮松:全く何も分からない、絵本のセオリーも知らない中で進めるのはやはり不安があったので、絵本作家の山本省三さんにお会いして、会社で勉強会をしてもらいました。そこで、絵本の文章や言葉遣いなどのポイントをお聞きして、やはり1冊目はプロの方に文章をお願いしたいと文章をお願いしました。

中村:制作チームのやりたいこと、伝えたい思いをありったけ山本省三さんにお伝えして、おはなしの案を出してもらったのです。

───プロの作家さんの文章を拝見して、どう感じましたか?

中村:使われる言葉がすごく細やかで、言い回しなどとても考えて書かれていることに感動しました。

───そうして生まれたのが1冊目の『あなたがいるから』ですね。絵を担当された山本マキさんは、グッズと絵本のイラストの違いでの苦労は感じましたか?


山本:グッズはキャラクターの表情が変わらないのですが、絵本は文章によって、キャラクターが泣いたり、笑ったりするのでキャラクターに合わせた表情を作ることが意外と大変でした。キャラクターがいろんなポーズを取ったりするので、後ろ向きや横向きの姿を描くのが大変だったり(笑)。

───メッセージと絵がピッタリですし、どのページもキャラクターが生き生きと動いている様子が感じられて、とても心の温まる絵本だと思いました。中村さんは2冊目の『うまれてきてくれて ありがとう』から文章を担当されたんですよね。

中村:はい。『うまれてきてくれて ありがとう』は母から子どもへのメッセージ絵本だったので、母である私が担当させていただきましたが、山本省三さんからアドバイスを頂きながら、文章を考えていきました。

───特に印象に残っているアドバイスはありますか?

中村:最初の頃、文章がちょっとリアルというか、自分の子どもに当てはめてかなり細かく書いていた部分があったんですね。それを山本省三さんから、「プレゼントする対象をあまり限定しない方が良いよ」とアドバイスをいただいて、もう少し普遍的な、多くの方に当てはまるような内容にしていくことができました。

───子どもが生まれてからの楽しい思い出ばかりでなく、「たくさん なきました」や「ねつも だしました」などの大変なときのエピソードも入っていることが、現役のママさんの言葉だなぁ…と思いました。

中村:子どもが熱を出したり、どんなにあやしても泣き止んでくれなかったり…、子育てって大変なことも多いじゃないですか。でも、絵本のエピソードにすることで、少しでも多くのお母さんが共感してくれたらと思ったんです。どんなに子育てが大変でも、子どもを持って思うのはやっぱり「うまれてきてくれて ありがとう」ってことなんですよね。

───最後のページが、本当に子どもが私たちを親に選んでくれたような優しい絵で、温かな気持ちになりました。

山本:星空から子どもが、ママを目指してやってくる場面は、最初のページとの比較の意味も込めて、ファンタジー的な絵を最後にしようと思ったんです。

───その最初のページを見て、ちょっとびっくりしたのですが、これはお母さんのおなかの中ですよね。


暮松:そうです。ここは山本省三さんからもちょっとリアルかな…とご指摘いただいたんですが、社内の女性陣の支持が高く、採用されたシーンです。

山本:中村さんの文章を読んで、どういう絵をつけるかすごく悩みました。最初は暗いトンネルの中にいるようなファンタジーよりの絵を描いてみたんですが、リアリティに欠ける感じがしてダイレクトにおなかの中を描いてみようと決めました。事実としてこういう風に生まれてきたんだよということを、伝えたいと思ったんです。

───子どもを持つお母さんなら、本当に共感する場面ですよね。すごく気持ちが伝わってきますし、たぶん、これを買われる方達も同じ思いを持つのかなと思いました。

中村:親がプレゼントした後、絵本を見た子どもにこの場面について聞かれたとき、そこから生まれたときの話が膨らんでいったら嬉しいですね。

───『あなたがいるから』と『うまれてきてくれて ありがとう』を発売されて、周りの反応はいかがでしたか?

暮松:「シュシュアミイ」シリーズは普通の本屋さんにはおいていないんですよ。今までお付き合いのあるケーキ屋さんや花屋さん、雑貨屋さんに置いていただいているのですが、予想していた以上の反応を頂いています。「ハッピーさん」というケーキ屋さんでは、お店の方がショーウィンドウに「シュシュアミイ」を大きく描いてくださって、お客様にも紹介してくれています。社員も家族や友人、大切な人にプレゼントして「心が軽くなった」「私も友達にプレゼントしたい」と感想を伝えてくれます。


こちらが「ハッピーさん」での展開の様子です!ケーキと一緒に置いてあるそうです。

───中村さんと山本さんはどなたにプレゼントしましたか?

中村:私は弟やいとこなど家族に贈っています。子ども達にも見せたのですが、一番下の子は内容がまだわからないので、めくって遊んでいますね。子ども達が成長して、成人式や結婚式を迎える頃にメッセージを書いて改めて渡したいと思います。

山本:私も娘の結婚式のときに母子手帳といっしょに渡そうと思っていて、まだ渡さずに大切にそのときを待っています(笑)。

暮松:おかげさまで、現在、新作の制作も進んでいるんですよ。

───それはすごいですね! 新作の内容を少し伺えますか?

中村:来年の2月くらいに発売予定なので、鋭意進行中なのですが、入学卒業、母の日、父の日用のメッセージ絵本になる予定です。

山本:入学卒業用の絵本は、仲良しの友達との別れなど、ちょっとしんみりする場面もありますが、全体はパステルのあたたかい雰囲気の作品になる予定です。シュシュエルとシュシュフルのお友達やパパ、ママも登場する予定です。

───ダミーを拝見しているだけでも、色がとてもきれいで、やさしい気持ちになれますね。新作の文章は大変でしたか?

中村:打ち合わせをしたとき、山本(マキ)さんと言葉は違うけど、ほぼ同じことを考えていて、ビックリしたくらい伝えたい思いが共通していました。なので、ほぼ合作と言ってもいいくらい、2人の同じ思いが入っている作品ができたと思います。


山本:私たちの中に「シュシュアミイ」ワールドができていて、こういうことを伝えたいという、お母さんが喜ぶメッセージの選び方が自然と感じられるようになったんだと思います。
今回、絵本の発売に合わせてグッズもさらに充実させる予定でいます。お弁当箱やコップなど、園や小学校で使ってもらえるようなグッズを検討中です。

───お2人とも、すっかり作家さんとして活躍されていますね。

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なかむら あさみ

  • 大阪府生まれ。短期大学卒業後、(株)ヘッズに入社。3度の産休・育休後、仕事復帰。現在スイーツ事業部に所属。
    長男(かえで)、長女(ももか)、次男(そうた)3 児のお母さん。

やまもと まき

  • 大阪府生まれ。短期大学でグラフィックデザインを専攻し、卒業後商品企画の仕事に就く。現在、(株)ヘッズの専属デザイナー。既製品やオリジナルの別注なども、企画からデザインまで幅広く活躍。長女(ゆう)1 児のお母さん。

作品紹介

あなたがいるから
作:やまもと しょうぞう
絵:やまもと まき
出版社:HEADS
うまれてきてくれてありがとう
作:なかむら あさみ
絵:やまもと まき
監修:やまもと しょうぞう
出版社:HEADS
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