●「ケーキ屋さんや花屋さんに絵本があったらステキじゃないかと思ったんです」
───絵本ナビでも「ギフトにおすすめの絵本はありますか?」とユーザーさんから問い合わせをいただくことが多いのですが、この『あなたがいるから』と『うまれてきてくれてありがとう』はまさにピッタリ!と思いました。
───ヘッズさんは、ギフト用のラッピング商品を扱われている会社なんですよね。絵本を作ってみようと思ったきっかけなどを伺えますか?

───誕生日や記念日の贈り物として、伝えたい思いを形にするギフトとしての絵本が浮かんだんですね。
───そのとき、制作チームとして選ばれた中に中村さんと山本さんもいらっしゃったんですね。最初に絵本を作るという話を聞いたときはどう思いましたか?
山本:「絵本ですか?!」とビックリして聞き返しました(一同笑)。
ラッピング商品やメッセージカードなら分かるけれど、絵本はやったことがなかったので、「本当にできるのかな…」と不安が大きかったですね。
───絵本に登場するキャラクターを、グッズとして同時展開するイメージは最初からあったんですか?
中村:絵本とキャラクターグッズを同時に展開することは、かなり初期から決まっていました。
───その中で生まれたのが「シュシュエル」と「シュシュフル」ですね。キャラクターのイメージはどのように決まっていったのですか?

山本:絵本は子どもから大人まで楽しめるものなので、小さい子からOLさんまで「かわいい」と思ってもらえるキャラクターであること。ケーキ屋さんや花屋さんに置いてもらうので、お店のイメージの邪魔をしない、柔らかいパステル調の色を使うことが決まって、さらに、手に取ってもらいやすいコロッとしたモコモコのフォルムや、男の子と女の子のキャラクターにすることなどが固まっていきました。
───実際に「シュシュアミイ」シリーズのグッズを手に取ってみると、どれもずっと触っていたくなるようなさわり心地で、デザインもかわいく、さらに使いやすい!と良いところがそろっていますよね。生地の柄や色にもこだわりがあるのでしょうか?
●「絵本作りはひとつひとつ相談しながら、試行錯誤の連続でした」
───シュシュエルとシュシュフルのデザインが決まって、その後はどういった流れで絵本の制作に入っていったのでしょうか?
暮松:全く何も分からない、絵本のセオリーも知らない中で進めるのはやはり不安があったので、絵本作家の山本省三さんにお会いして、会社で勉強会をしてもらいました。そこで、絵本の文章や言葉遣いなどのポイントをお聞きして、やはり1冊目はプロの方に文章をお願いしたいと文章をお願いしました。
───プロの作家さんの文章を拝見して、どう感じましたか?
───そうして生まれたのが1冊目の『あなたがいるから』ですね。絵を担当された山本マキさんは、グッズと絵本のイラストの違いでの苦労は感じましたか?

───メッセージと絵がピッタリですし、どのページもキャラクターが生き生きと動いている様子が感じられて、とても心の温まる絵本だと思いました。中村さんは2冊目の『うまれてきてくれて ありがとう』から文章を担当されたんですよね。
中村:はい。『うまれてきてくれて ありがとう』は母から子どもへのメッセージ絵本だったので、母である私が担当させていただきましたが、山本省三さんからアドバイスを頂きながら、文章を考えていきました。
───特に印象に残っているアドバイスはありますか?
───子どもが生まれてからの楽しい思い出ばかりでなく、「たくさん なきました」や「ねつも だしました」などの大変なときのエピソードも入っていることが、現役のママさんの言葉だなぁ…と思いました。
───最後のページが、本当に子どもが私たちを親に選んでくれたような優しい絵で、温かな気持ちになりました。

───その最初のページを見て、ちょっとびっくりしたのですが、これはお母さんのおなかの中ですよね。
───子どもを持つお母さんなら、本当に共感する場面ですよね。すごく気持ちが伝わってきますし、たぶん、これを買われる方達も同じ思いを持つのかなと思いました。
───『あなたがいるから』と『うまれてきてくれて ありがとう』を発売されて、周りの反応はいかがでしたか?
暮松:「シュシュアミイ」シリーズは普通の本屋さんにはおいていないんですよ。今までお付き合いのあるケーキ屋さんや花屋さん、雑貨屋さんに置いていただいているのですが、予想していた以上の反応を頂いています。「ハッピーさん」というケーキ屋さんでは、お店の方がショーウィンドウに「シュシュアミイ」を大きく描いてくださって、お客様にも紹介してくれています。社員も家族や友人、大切な人にプレゼントして「心が軽くなった」「私も友達にプレゼントしたい」と感想を伝えてくれます。
こちらが「ハッピーさん」での展開の様子です!ケーキと一緒に置いてあるそうです。
───中村さんと山本さんはどなたにプレゼントしましたか?
中村:私は弟やいとこなど家族に贈っています。子ども達にも見せたのですが、一番下の子は内容がまだわからないので、めくって遊んでいますね。子ども達が成長して、成人式や結婚式を迎える頃にメッセージを書いて改めて渡したいと思います。
暮松:おかげさまで、現在、新作の制作も進んでいるんですよ。
───それはすごいですね! 新作の内容を少し伺えますか?

山本:入学卒業用の絵本は、仲良しの友達との別れなど、ちょっとしんみりする場面もありますが、全体はパステルのあたたかい雰囲気の作品になる予定です。シュシュエルとシュシュフルのお友達やパパ、ママも登場する予定です。
───ダミーを拝見しているだけでも、色がとてもきれいで、やさしい気持ちになれますね。新作の文章は大変でしたか?
中村:打ち合わせをしたとき、山本(マキ)さんと言葉は違うけど、ほぼ同じことを考えていて、ビックリしたくらい伝えたい思いが共通していました。なので、ほぼ合作と言ってもいいくらい、2人の同じ思いが入っている作品ができたと思います。

───お2人とも、すっかり作家さんとして活躍されていますね。