新刊
いろいろたべもの

いろいろたべもの(偕成社)

シルエットから食べものをあててね!『おせち』が大好評の作者の最新刊!

  • かわいい
  • ためしよみ

連載

2016年 読書感想文・課題図書

絵本ナビ編集部

2016/08/02

『ABC! 曙第二中学校放送部 』 【中学校の部】

『ABC! 曙第二中学校放送部 』 【中学校の部】

中学校の部の課題図書は3冊です。
課題図書(読書感想文)に選ばれる作品は、

・発達段階に応じて楽しめる
・深い感動や新しい認識を与えられる
・他者を尊ぶ気持ちが貫かれている
・児童生徒の興味関心をひく内容
・流行りに迎合的になりすぎていない
・ノンフィクションは事実に基づいている
など、安心して子どもたちが読書を楽しめるものになっています。

■ 美しく輝く、心優しい青春小説!『ABC! 曙第二中学校放送部』

● 選定理由は…
生徒に身近な部活動をテーマにした親近感の湧く物語。心の成長や友情が巧みに描かれ、登場人物一人一人の個性が魅力的に表されている。読後感の爽やかさが秀逸である。

選定コメント:公益社団法人 全国学校図書館協議会

中学三年生の主人公みさとが所属しているのは、影の薄い廃部寸前の弱小部。
「Akebono Broadcasting Club(曙第二中学校放送部)」
通称、「ABC」。

先輩はみんな卒業してしまって、「機材担当」を自称する同級生の古場をのぞけば、残りの部員はみさとだけ。
半年前に入部したばかりで放送のド素人のみさとが、いやおうなしにアナウンスをすることに……。
嫌みなクラスメイトにはバカにされるし、新しい顧問の須貝先生も、なんだかたよりない。

ところが、みさとのクラスにひとりの転校生がやってきたことで、状況は少しずつ変わっていく。
転校生の名は葉月。
葉月はとても美しく、彼女を目当てに他の学校から男子が忍び込んで、問題になってしまうほど。
そんな葉月が、放送部の地区大会で上位入賞を果たすほどの実力を持った、放送経験者だということが判明!
みさとの勧誘で放送部に入部してくれた葉月だが、「アドバイザー」という立場に固執してゆずらず、なぜか決してマイクの前には座ろうとしない。

部員集めに奔走した甲斐あって少しずつにぎわいはじめたABCだったが、やっぱりアナウンス担当はみさとひとり。
そんなある日、顧問の須貝先生の発案で、放送コンクール地区予選へ出場することになって――

その見た目と声の美しさとはうらはらに、頑固でトゲトゲしい性格の美少女。
近所に住んでいるむじゃきなポメラニアンにそっくりの顧問。
部長の機材オタク仲間で、小さな背丈のかわいい後輩。
葉月目的で入部してきたらしい、ちょっと気になるクラスメート。
個性豊かなメンバーがくりひろげる、恋愛あり友情ありの「文化系スポ根」小説!

機材オタクと放送素人のたったふたりしか部員のいなかったABC。
彼らがその活動の幅を広げていく中で励む、アナウンス技術向上のための努力や、放送番組を作るうえでの工夫を、とてもていねいに描写しているのがみどころです。

「ここにいるのは、みな、なにかを伝えようと努力している仲間たちだ」

運動部顔負けの、筋力トレーニングや発声練習。
放送原稿のための、読みやすく聞きやすい文章作りのコツ。
興味をもってもらえる番組構成にするには、どうすればいいか。
人に聴かせるための「間」の取り方など。
知られざる中学放送部の世界に、新鮮なおろどきの連続です!

「隻手の声あり、その声を聞け」

両手を打ち合わせると音が鳴るけれど、では片手だとどんな音が鳴るか?
この禅の公案をテーマに、ABCのメンバーは大会用のラジオ番組を制作します。
言葉によってなにかを「伝える」ということの、もっとも基本的な”とある行為”をそこに見いだしたABCメンバー。

片手によって鳴る音――

彼らはそこに、どんな意味を解釈したのでしょう?
友情も、恋愛も、すべては「伝える」ことからはじまる!
言葉を選ぶということのむずかしさや、人になにかを伝えるということの繊細さを教えてくれる、読後感さわやかな王道青春物語!

(堀井拓馬  小説家)

■ 合わせてこちらもおすすめ!


絵本ナビ編集部

タグ

【連載】絵本ナビ編集長イソザキの「あたらしい絵本大賞ってなに?」
全ページためしよみ
年齢別絵本セット