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つづきの図書館」 パパの声

つづきの図書館 作:柏葉 幸子
絵:山本 容子
出版社:講談社 講談社の特集ページがあります!
税込価格:\1,760
発行日:2010年01月
ISBN:9784062160100
評価スコア 4.85
評価ランキング 100
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  • 主人公の原風景

    読んでいてしみじみとしてきたのです。
    父親の事業の失敗で後にした自分の故郷。
    両親は早くなくなり、結婚したものの離婚してバツイチ。
    自分の職場の倒産で居場所のなくなった桃さん。
    そんな桃さんが、妙な連絡で身寄りを失ったおばさんの介護にと生まれ育った町に舞い戻り、図書館に勤めることになります。
    自分にとって、記憶の中にある原風景。
    児童書でありながら、物語は私をがんじがらめにしてしまいました。

    桃さんのもとに現れる絵本の登場人物は「はだかの王様」「おおかみと七匹のこやぎ」のオオカミ、「うりこひめ」のあまのじゃく。
    それぞれに人を探してほしいと、変わったリクエスト。
    忘れられない自分に大切なものをさがしている利用者(?)のために、桃さんはレファレンス(ではなくて人生相談)に力を貸すことになります。
    自分の思い出で忘れることのできない人を訪ね歩きます。
    そして、この物語そのものが桃さん自身のためだったということを知ります。
    自分の生い立ちと、父と親族。
    これって、子どもには難しいんじゃないのと思いながら、小さいころから転居ばかりしていた自分の昔にこの物語をなぞらえてしまいました。

    多分、この物語は子どもにとっては親への問いかけになるのです。
    お父さん、お母さんはどのように育ってきたの?
    お父さん、お母さんのふるさとって何?
    幼馴染ってどんな人?
    そして、どんなお話を読んで育ってきたの?

    気づいたら、大人として読み終えてしみじみとしてしまいました。
    そういえば出てくる絵本も大人になじみの深い絵本。
    自分の中にもこんな話の断片がありそうです。

    児童書として置いてあるのが不思議に思えるお話でした。

    投稿日:2011/08/16

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  • つづきのつづき

     本を閉じて、さてこの物語のつづきはどうなるのだろうと思うことがよくある。
     例えば、夏目漱石の『坊つちゃん』。四国松山での事件のあと、東京に戻った彼は街鉄の技手になったとあるが、果たしてその後結婚したのだろうか。奥さんはどんな女性で、子供はいたのかいなかったのか。それは息子なのか娘なのか。そういったことである。
     そういったつづきを読みたいと思う人はいるもので、『坊つちゃん』でいえば作家の小林信彦さんが作中の登場人物うらなり君のその後を描いた『うらなり』という物語を書いている。

     柏葉幸子の『つづきの図書館』はその逆。
     絵本の登場人物たちが自分の物語を読んでくれた人物のつづきを訪ね歩くという、ファンタジー物語である。
     田舎の図書館に司書として勤めはじめた桃さんの前に最初に絵本から飛び出してきたのは、はだかの王様。王様は桃さんにこう言うのである。「本をさがしてもらいたいのではない。青田早苗ちゃんのつづきが知りたいんじゃ」って。
     早苗ちゃんは病気で入院をしていて、そのあいだずっと「はだかの王様」の絵本を読んでいたのだという。こうして、桃さんとはだかの王様の、早苗ちゃん探しが始めるのである。

     『つづきの図書館』は、そんなはだかの王様だけでなく、「おおかみと七ひきの子やぎ」の狼や「うりこひめ」のあまのじゃくなどが読者のつづきを探す物語だが、同時に桃のこれまでもを探すことになっていく。
     はだかの王様は図書館の本から抜け出してきたのだが、そんな王様がぽつんとこんなことをいう。「一人の人間に一生愛されて、その人間のそばにおいてもらえる本もあるじゃろ。そんな本は幸せじゃ」。
     この言葉のなかの「本」を「人間」に変えたとき、この物語のまんなかにたどりつく。

     きっとこんな素敵な物語にもつづきがあって、それは閉じられたページのなかでつづいているにちがいない。もちろん、それは読者だけに与えられた密やかな楽しみでもある。

    投稿日:2015/06/08

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