湖の畔、おじいさんと孫が、寝ています。
何も音が聞こえない。
生き物も風も音を立てない瞬間って、
確かにあるものです。
大自然の中、自分の息以外、何も聞こえないような体験を
今まで一度だけしたことがあります。
静まりかえったページを読みながら、そのときのことを思い出しました。
夜明け前、
風が水辺を揺らす音が聞こえてきます。
鳥が起きます。
だんだん朝が近くなる様子が伝わってきます。
おじいさんと孫はボートで湖に出ます。
そこで山から太陽が顔を出し、あたりを照らし、
はじめてページが明るくなります。
ページをめくった一瞬の、明るさの変化がとてもリアルで美しい。
絵本を読みながら、耳を澄ましたり緊張させたり、
光の変化に感動したり・・・、
他の絵本ではなかなかこんな感覚は得られないと思います。
小さい頃にも読んだ絵本を数十年ぶりに読んだのですが、
当時は気に入ったという記憶はありません。
大人向けの絵本なのかも。