お話が良く知られているため絵本も多い中
好みは別にして一度は出会っておきたい一冊…
この本はホフマンの次女クリスティアーネに贈られたもので、
彼女が猫好きだったことから表紙を含め多くのページに飼い猫を
登場させたらしい…この猫が解釈の大きなヒントになっているのが
塔の上で姫が糸紡ぎする老婆に出会うシーンだ…
この場面で猫は老婆に甘えている…
つまり敵ではないといっているのだ
石版画なので使われる色は限られているけれど、
それが全体の色調を落ち着かせている…
とくに茨に使われるグリーンは王さまのマントや王冠、
姫の髪にも用いられて印象的だ…
絵とテキストのバランスでは、一カ所、姫が眠りに落ちてから
多くの王子が落命するまでの描写が1ページ25行続くところがある…
ここは下読みを十分にして語るように読めると楽しめると思う…
この絵本は色調が暗い、怖い…という感想を聞くこともあった…
でも描かれるお城や王さまはお話の舞台となっている
ゲルマンの風俗を反映しているわけだし、ヨーロッパの森が
深くて黒くて怖いところでなければ赤頭巾も成り立たないと
思うのだが、それはまた別な話…