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絵本ナビスタッフ便り 7月

絵本ナビ編集部

2015/07/31

もうこわくない!読書感想文の本選びのコツとおすすめ作品をご紹介

もうこわくない!読書感想文の本選びのコツとおすすめ作品をご紹介

毎年頭を悩ます夏の宿題としてよく耳にするのが…読書感想文。
できるだけ楽しく、つまづかずに書いていくために、何よりも重要なのが本選び!
こちらでは本を選ぶときのちょっとしたコツと、子どもたちが共感しやすいテーマに沿って、おすすめの作品をご紹介します。

まず、本を選ぶときのコツは・・・?!
◆自分で気に入った本を選ぶこと
まずはじめに、お話のテーマは興味を持って読めそうかどうかを確認します。
次に目次を見てみると、だいたいどんな内容が書かれているか分かるので、ざっと見てそこで読みたい気持ちがわいてくるか、じっくり自分の胸に聞いてみます。
◆最後まで読み通せそうな本を選ぶこと

本の長さ、字の大きさ、漢字の多さは、自分に合っているでしょうか。最後まで、無理なく読めるかどうか必ずパラパラとめくって確かめてみることが大切です。
※絵本ナビでも、ページ数の表記や、「見開き」、「ためしよみ」などでボリュームや中身を確認することができます。

◆対象となる本は、物語だけではありません。
物語や小説全般にあまり興味が持てない子もいるかもしれません。そんな子どもたちへは、事実に基づいた科学本や、実際に起こった出来事が書かれたノンフィクション、伝記などから選ぶのもおすすめです。

では、実際に、おすすめの本にはどんな本があるのか・・・テーマ別にご紹介します!

*思わずわかるわかる!と共感してしまう身近なお話

先生、しゅくだいわすれました 先生、しゅくだいわすれました」 作:山本 悦子
絵:佐藤 真紀子
出版社:童心社

しゅくだいをわすれたゆうすけ。しどろもどろに口からでまかせのウソでいいわけをしていると、えりこ先生が「だめだなあ、ウソをつくならもっと上手につかなくちゃ」「え?」「すぐばれるようなのはだめよ。それから、聞いた相手が楽しくなるようなのじゃなくちゃ」「楽しくなる?」「そう。聞いた人がウソとわかっても、はははってわらっちゃうようなのじゃなきゃ」「じゃあ、上手にウソがつけたら、しゅくだいやってなくてもしかられないってこと?」「そうねえ。だって、だまされちゃったらしかたないし」といって、えりこ先生はにやっとわらった。…次の日から子どもたちはしゅくだいができなかったわけを考えてきて発表することに…。
<中学年におすすめ>

かあちゃん取扱説明書 かあちゃん取扱説明書」 作:いとう みく
絵:佐藤 真紀子
出版社:童心社

ある日、かあちゃんのことを書いた作文を読んだ父ちゃんが大笑いして言ったのは、「かあちゃんはほめるときげんがよくなるんだ。とにかくほめること。パソコンもビデオも扱い方をまちがえると動かないだろ、それと同じさ」ということば。 それを聞いた4年生の哲哉は早速かあちゃん取扱説明書を書きはじめます。こんなことあるある!とたちまち子どもたちの共感の嵐を呼ぶこちらのお話。でもお母さんが読んでもじーんとしちゃうんです。
<中学年におすすめ>

*こんなことあったらいいな〜とうらやましくなっちゃうお話

まほうのじどうはんばいき まほうのじどうはんばいき」 作:やまだともこ
絵:いとう みき
出版社:金の星社

こうへいが見つけた変わった自動販売機。ボタンを押すと、そのとき必要なものが何でも出てくる。しだいに販売機に頼っていくこうへいを心配したお母さんが、ボタンを押したことで、突然販売機が姿を消してしまった!もし、こんな魔法のような自動販売機に出会ったらどうする?自分だったら何をお願いする?いろいろ想像するのが楽しいお話。
<低学年におすすめ>

願いがかなうふしぎな日記 願いがかなうふしぎな日記」 著:本田 有明 出版社:PHP研究所

「望みはこれに書いておくといいよ。きっとかなうから」亡くなったおばあちゃんからもらった日記に、願いごとを書いた光平。もう一度おばあちゃんに会いたい、のぞみ号にまた乗りたい、お父さんとお母さんが仲直りしてほしい・・・。日記に書くと、ふしぎなことにその願いごとがかなっていく。

小学校三年生のときに水泳教室でおぼれてから、「オボレンジャー」というあだ名がついた光平は、今年こそは泳げるようになりたいと願う。そこで日記に書き、自分なりに練習をして夏休みの水泳教室に挑んだ。日記を通じて大切なこと学び、成長していく少年の姿を描いた物語。夏にもぴったりのお話です。
<中学年から高学年におすすめ>

*ちょっと考えさせられるお話。

わらうきいろオニ わらうきいろオニ」 作:梨屋 アリエ
絵:こがしわ かおり
出版社:講談社

友達に嫌われまいと無理する“きいろオニ”に、新しい出会いが。
いじめ問題に希望を与える講談社児童文学新人賞受賞作家の新作童話。
赤でも青でもない、きいろのオニはお手玉が得意です。そんなきいろいオニがある日人間の学校にやってきて友達をつくろうとしますが、子どもたちに、きいろなんて、変なオニ、と言われて悲しくなります。きいろオニは子どもたちに面白がってもらうためにどろだらけになってお手玉をしたり、校長先生にアッカンベーをしたりと、いろいろ無理をしてしまうのですが・・・。ふつうって何だろう?と考えさせられます。
<中学年におすすめ>

口で歩く 口で歩く」 作:丘 修三
絵:立花尚之介
出版社:小峰書店

体が自由に動かず、寝たきりのタチバナさん。けれども決してくじけません。友だちの家へ行くために、「すみませーん!」と出会う人出会う人に声をかけ、特製の車輪つきベッドを押していってもらいます。短いお話の中に、作者の丘修三さんがさまざまな作品の中で伝えようとしたことのエッセンスがぎゅっと詰まっていて、読むと大切な気づきがたくさんあります。折にふれて何度でも読み返したい1冊です。
<中学年から高学年におすすめ>

*科学ものやノンフィクションのおすすめ

ダンゴウオの海 ダンゴウオの海」 写真・文:鍵井 靖章 出版社:フレーベル館

ダンゴウオというお魚を知ってますか?とても小さくてコロコロとした可愛らしいお魚。泳ぐのが苦手でおなかの吸盤で岩などにくっついて海の中で暮しています。
そんな小さな小さなダンゴウオを発見したのは、岩手県宮古湾の海の底。震災直後に魚の姿が消えた海の中で、必死に海の底にしがみついていました。そんな海の底で生きる生き物たちの姿を水中写真家の鍵井靖章さんが三年半かけて撮り続けました。生命をつなぐためにたくましく生きる魚達の姿に心打たれます。子どもたちにも大人にも、伝えたいメッセージがたくさんつまっている写真絵本です。
<低学年からおすすめ>

講談社青い鳥文庫 ぼくは「つばめ」のデザイナー 九州新幹線800系誕生物語 講談社青い鳥文庫 ぼくは「つばめ」のデザイナー 九州新幹線800系誕生物語」 作・絵:水戸岡 鋭治 出版社:講談社

21世紀の夢の新幹線、出発進行!
「自然」「和」「中が外」「タテ目」…斬新なコンセプトの新幹線、800系「つばめ」はどうして生まれたのか?883系「ソニック」や885系「かもめ」、787系「つばめ」など数々の名列車を生み出してきた水戸岡鋭治によって語られる九州新幹線「つばめ」誕生秘話!
こんな仕事があるのか?という発見にもつながり、自分の未来や夢についても考えるきっかけになる1冊です。
<中学年から高学年におすすめ>

日本気象協会 気象予報の最前線 日本気象協会 気象予報の最前線」 文:深光富士男 出版社:佼成出版社

毎日の天気は、誰がどのように予測しているのでしょう?
気象予報士が220人以上もいる民間気象会社「日本気象協会」。技術士、環境計量士、測量士ほか、さまざまな資格を持つスタッフが、観測・予報技術、通信ネットワークを進化させ、気象予報士と共に、気象予報の精度を上げています。予報事業、防災事業、環境事業、情報システム事業、商品・アプリ開発など、多彩な気象ビジネスを紹介します。
<高学年におすすめ>

いかがでしたでしょうか。

自分の関心のあることだったり、好きなことに関する本だったら、読みながら自然といろいろな気持ちや感情がわいてきますよね。その気持ちを大切にそのまま書きとめていけば、もうそれが立派な感想文になっていきます。まずは、好きなお話を見つけるところから始めてみて下さいね。


絵本ナビ編集部 秋山朋恵

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