明日は運動会。ソウタは手術をするおじいちゃんを勇気づけたくて、リレーで絶対に優勝するぞと誓っていました。
ところが、天気予報は雨。
そこでソウタはてるてるぼうずを作りました。すると、そのてるてるぼうずがしゃべり出したのです。
名前は、ふるふるひめ。雨を降らせるお姫様なんだそう。
ふるふるひめが言うには、やっぱり明日は雨。でも、隣の家のユウキの笑った顔を見たくなったふるふるひめは、ユウキを笑わせることができたら晴れにしてあげると言い出して……!?
ソウタ、ふるふるひめ、ユウキ、それに、ソウタに天気占いを教えてくれる小さな女の子みはる。
さりげない描写の中にそれぞれの人物像がくっきりと浮かび上がってきて、みんな魅力的です。
個人的に一番好きだったのは、みはるが落としてしまったブローチをソウタが拾ってあげるシーン。
雨と土で汚れたブローチを、ソウタは手で拭ってからみはるに渡してあげました。
「ありがとう……。」
みはるの描写はこれだけですが、すごくうれしかったに違いないです。
私も子どもの頃、ヘアゴムを泥水のような水たまりに落としてしまい、拾い上げるときに悲しくて惨めな気持ちになったことがありました。もしソウタのような子がいてくれたなら、悲しい思い出どころかステキな思い出になったに違いない……!
他のシーンでも、ソウタの優しい心や嫌なことにも真っすぐに向き合おうとする気持ちが伝わってきて、「がんばれ!」と応援したくなります。
雨が上がった後のようなさわやかな気持ちになりたいときに、ぜひ手に取ってみてくださいね。
(近野明日花 絵本ナビライター)
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