平和な町で行方不明事件が発生! ヤギのおばあさんがいないことに気づいたヤギのおじさんは、町の事件を素早く解決する名探偵・たんていベイビーの事務所に飛び込みます。さあ、たんていベイビーの出番。オレンジとちくわのにおい、小さなピンクのシミを手がかりに調査を開始します。
ヤギのおばあさんは一体どこに?
そして、行方不明の意外な理由とは?
この「たんていベイビー」、その名の通り赤ちゃんのたんてい。独特の赤ちゃん言葉しか話せません。
「もうもうも もうもうももも ももももも。」
たんていベイビーは、助手のウーパー(ウシ)に抱っこされて、あちこちに連れて行ってもらい、ハイハイして、においをかいだりします。ヒントをつかんだら、赤ちゃん言葉で声を出し、ウーパーが通訳して短冊に筆でしたためるのですが……。
「あとひとつ においののこる 春こたつ」
出て来たのは、なんと五・七・五の俳句! 推理が進むにつれ、俳句の内容も真相に近づいていくので、この俳句をどう読み解くのか、楽しみながら読み進めることができます。
詩人のねじめ正一さんは言葉遊びの名人だけに、ゆかいな俳句を盛り込みつつ、推理仕立てでありながら、ヤギ、ウシ、赤ちゃんというキャラクターの個性豊かな掛け合いを楽しめます。
(中村康子 子どもの本コーディネーター)
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