大きな木の下で仲良く遊んでいるのは、ねこのとらとはち。ふたりは、今日こそ、この木に登ろうとはりきっているのです。ところが、飛びついては転び、転んでは飛びついて。なかなか上手くはいきません。
「ねえ はち てっぺんには なにが あるのかな。」
「きっと とんでもなく すごい たからものが あるに ちがいないさ。」
おやつを食べながら、ふたりは想像をふくらませます。次の日も、また次の日も、日が暮れるまで挑戦するふたり。大粒の雨が降ってきた日、とうとうはちが「もうやめよう」と言い出します。でも、とらはあきらめません。そのうち取っ組み合いの大げんかになり……。
目指すところは同じなのに、気持ちがすれちがってしまう。子どもたちが真剣に遊べば遊ぶほど、起こってしまう出来事かもしれませんよね。ひとりで家に帰りながらも胸をずきんずきんと痛めるはちと、ひとりになっても挑戦し続けるとら。この先どうしたらいいのかな。
どこか幻想的で愛らしい絵の世界が魅力の絵本作家ぬまのうまきさん。どの作品からも感じるのは、子どもたち自身が成長していこうとする過程を見守る、繊細であたたかな視点です。
はちととらが見つけだしたのは、かけがえのないふたりだけの「たからもの」。この先も忘れることはないのでしょうね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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