いつものあさの、「あ」たらしい空。
いつものあさの、「い」ただきます。
いつも通りにやってくる朝の風景を、「あいうえお」の五十音の言葉で切りとっていくこの絵本。なんてことはない、でもそこにあると心が落ち着く、見慣れた場面の数々。
歌う声、絵本、おひさま、川の音、きらきら水面、草花……。ページをめくるたびに積み重ねられていく言葉に添えられているのは、水彩の淡い色彩で描かれた優しい絵。いつまでも続くようなその時間の、なんて豊かなことでしょう。絵本は途中で昼間に移り変わり、やがて夜へと続いていきます。
作者の植田真さんは言います。「小さな息子の生活には、『いつものこと』であふれていて、そして、それらは、とても美しいものに思えた。」(巻末の言葉より)
登場するのは、さりげないけれど、どこまでも丁寧な視線で描かれる愛おしい小物や小さな生き物、家の中や外、そしてその場所で過ごす小さな子ども。一日の終わりにこの絵本を開いてみれば、きっとそこが居心地のよい場所になってくれることでしょう。
表紙は、まるで朝の光をキラキラとまとったような美しいデザイン。子どもから大人まで、そして大事な方への贈り物としても。持っておきたくなる一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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