生まれたときから全盲のよっちゃん。お母さんとの様々な経験をするなかで「なんでも挑戦」の心が育っていたよっちゃんは、4歳のとき、盲学校の幼稚部ではなく、地域の保育園に通うことになりました。年中組に入園したよっちゃんは、先生やお友だちに手伝ってもらいながら朝の支度や外遊びを、自分でやります。なかでも先生が驚いたのは、年長さんになったよっちゃんが、壁や柱をさわらなくても階段まで移動できるようになったこと。廊下に貼ってあるセンターラインのテープを足の指でたどり、階段へ来ると方向転換をして下りていきます。どうして階段の位置がわかるんだろう? 質問するとよっちゃんは
「だって風がちがうもん!」
目に見えないよっちゃんは、階段と、そうでない場所の空気の流れのちがいを感じとっていたのです??。
障がいの有無や年齢、国籍などにかかわらず、すべての子どもたちが同じ環境で共に生活し育ち合う「インクルーシブ保育」。その先駆けとなった愛知県・柏井保育園でのできごとから生まれた絵本です。多様性を自然に受け止め合う子どもたち、試行錯誤をしながら子どもたちを見守り、支える先生たちや保護者の姿がそのままに描かれている本作は、インクルーシブ保育への理解を深めるきっかけになってくれるはず。さらに目の見えないよっちゃんだけが持つ特別な感性は、読者の固定観念や先入観をもやさしく溶かしてくれます。
おおらかで柔軟な子どもたちの姿から、大きな学びと風のようなやさしさをもらえ一冊です。
(竹原雅子 絵本ナビライター)
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