舞台はメカシティー。活躍するのはエーくんとビーくん、仲良し兄弟です。
ふたりのお仕事は、みんなに役立つメカをつくること。どういうものが作れるのかというと?
眠い時に起きてるふりができる「オキテルハチマキ」、いつでも美味しいジュースが飲める「ジャグチカラジュース」とか…要するにどんなささいな悩みだって、メカで解決してくれちゃう!ってこと。
今日も街の人たちから、次々に相談が届きます。
「わーん。おおきな きのうえに ボールが ひっかかっちゃった!」
「とけいだいの とけいが うごかなくなって みんな じかんが わからなく なってしまったんじゃ」
するとふたりは答えます。
「そんなのぼくらにまかせて!」
トントン カンカン ビビビ ドンドンドン
ものすごい音をたてながら、あっという間に「かんせ〜い!!」
出来上がったのは…思わずみんながこう叫ぶ立派なメカ。
「すごい しくみ!!」
そうなのです。ふたりの作るメカは、とにかく「しくみ」がすごいのです。 どんなに大きな音のめざましでも起きられない子だって、ふたりの作ったメカであっという間に目が覚めちゃうし、困りごとだらけで怒っていた動物園のどうぶつたちの悩みだって、どんどん解決していきます。そのメカの魅力的なこと!
とにかく登場人物がたくさん出て来て、画面の隅々で好き勝手に動き回る中垣ゆたかさんの絵本。今作では、コマ割りの画面で進みながら、お話も愉快な絵もぎっしりたくさん楽しめる、濃くて嬉しい1冊になっています。そして何より子どもたちを釘付けにしてしまうのは、「効率的」なのか「壮大な遠回り」なのかわからない、凝りに凝った「メカ」であることは間違いないですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む