「パパ、あたまが ふくつうで、のどは ずつうが する。」
エミリーがフレドリックと名付けたお気に入りの毛布を引きずりながら、パパの部屋に入ってきました。
おでこが熱く、どうやら風邪らしいエミリー。
パパは体温計をあちこちさがし回りますが、なかなか見つかりません。
一方、ベッドに寝かされたエミリーは、髪をポニーテールにしてとか、ロマンチックなお話をしてとか、パパに色々なお願いをしますが……?
冒頭からあっという間にエミリーとパパのやりとりにひきこまれます。
文も絵も終始ユーモアにあふれ、「かぜで お休みするって、ほんとに たのしい!」「とくに、パパといっしょだとね!」なんてエミリーがごきげんなのも納得です。
そして個人的には……意外と元気な子どもをもてあましながら一日つきあうパパの姿に、親近感をおぼえたり癒されたりしちゃいます。
文章は、ニューベリー賞を受賞した名作『のっぽのサラ』をはじめ、簡潔であたたかい作風に定評があるパトリシア・マクラクラン。
絵は、『二十一の気球』で同じくニューベリー賞を受賞し、イラストレーターとしても活躍したウィリアム・ペン・デュポア。
生き生きとした子どもらしさがかがやく作品世界は、きっとこの二人の作家ならでは。
3・4・5歳くらいのお子さんとぜひじっくり読んでみてくださいね。
もちろん小学生低学年の一人読みにもおすすめです。
ちょっぴり具合はわるいけど、ベッドで過ごす父娘コンビにとって幸福感漂う一日。
翌日の「オチ」もちゃんとある楽しいお話絵本です。
翻訳家・小宮由さんがえらぶ、すぐれた幼年童話「こころのほんばこ」シリーズ第4弾です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む