東ヨーロッパのちいさな村に、ひとりの男の子が生まれました。動物の世話が得意で、一番の友だちはネコ! 本を読むのも大好きで、6歳を前に虫を動力に使ったモーターまで作ってしまう、ちいさな発明家でもあります。
彼の名は、ニコラ・テスラ。彼はやがて電気の魔術師≠ニ呼ばれるようになり、あの発明王″ナ大のライバルとして、彼と肩を並べることになる男なのですから!
本作は、エジソンと同じ時代を生きた稀代の発明家、ニコラ・テスラを追った伝記絵本です。
ニコラ・テスラと聞いて、その功績にすぐ思い当たるでしょうか? バリバリとちいさな雷をほとばしらせる恐ろしげなドーナツ型の金属装置、『テスラコイル』を思い浮かべる人もいるかもしれません。
実は彼の発明には、私たちの生活にとってなくてはならないものがたくさん! 冷蔵庫やエアコン、洗濯機に使われている交流モーター、それに、ラジオやリモコン。そして、発電所から遠くの家まで電気を送ることができるのも、彼の発明した技術のおかげ! あたりまえのように電気を使うことができる現代の生活も、ニコラ・テスラのひらめきが土台にあるのです。
イラストは、シックな色合いと壁画を思わせる平坦なタッチ、そして幾何学的なモチーフが特徴的!
ちいさな村で生まれた彼の、いささか突飛な子ども時代のエピソード。万博で披露し、彼の成功を決定的なものにした「ニコラのあかりの町」。みずからの発明により様変わりした世界で過ごす、その晩年。
そんなニコラ・テスラの生涯を描き出したイラスト群は、1ページ1ページがまるで、ポスターのようにおしゃれです。
ニューヨークのホテル、その一室で静かな老後を過ごしていたニコラ。彼がその死の間際まで大切にしていたこととは? 世界を変える偉業を成し遂げた天才が、ひとりの人間として抱いていた静かな想いにグッときます!
(堀井拓馬 小説家)
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